セミナーレポート

パートナービジネスのTier戦略と組織攻略のリアル ― スマートドライブ×SmartHR

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パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。

2026年2月18日(水)に、株式会社スマートドライブ高田亮介氏(パートナーグループ統括部長)と、株式会社SmartHR清水健太氏(パートナービジネス事業本部 第2アライアンス営業部 部長)をお招きし、「パートナービジネスのTier戦略と組織攻略のリアル」 というテーマでセミナーを開催しました。

異なる規模・フェーズの2社が、パートナーをどのようにTier分けし、各Tierに対してどんな施策を打っているのか。そして、大手パートナーの組織をどう攻略しているのか。セミナーの内容をレポートします。

 

登壇者プロフィール・会社紹介

スマートドライブ 高田亮介氏

高田:
2019年にスマートドライブに入社し、現在7年目になります。当時はインサイドセールスの立ち上げや、カスタマーサクセスなど様々な部署を経験しまして、今現在はパートナーの部署におり、約4〜5年ほどパートナー部門に携わっています。

弊社の会社紹介をさせていただきます。

スマートドライブは、移動から取得できるデータを分析・活用し、企業活動や社会における「移動の進化を後押し」することをビジョンとして掲げています。 中長期的にはより広範囲での提供価値向上に向け、メーカーから整備会社まで自動車産業の様々なパートナー様との共創や事業開発による移動にまつわるサービス自体の向上に寄与しながら、短期的には車載IoT機器やアプリ等の法人向け車両・動産管理サービスを中心に、企業の移動に関するデータ活用を推進しています。

パートナー様と拡販に取り組んでおりますのは、車両管理サービス「SmartDrive Fleet」というサービスで、車両や人の移動に伴う作業を可視化・自動化することで、事故削減から管理業務の効率化、生産性向上やコスト最適化など、車両を利用される企業への様々な課題解決の支援をしております。

パートナービジネスにおける特徴としては、多くのSaaSビジネスをされていらっしゃる企業様とは少し異なり、車載デバイスの販売とシステム・クラウド環境を一緒に提供するというのが特徴で、実際に顧客の車両に設置するハードの提供を伴う営業活動になるからこその難しさがあると考えています。

SmartHR 清水健太氏

清水:
初めまして、SmartHRの清水と申します。遠い中お越しいただきまして本当にありがとうございます。私はSmartHRに所属していますが、住んでいるのは実は関西でして、関西に住みながら東日本全域を見ているという、ちょっと特殊な立場です。

関西出身で関西学院大学を卒業しまして、全くIT企業とは無縁の製造業メーカー、愛知の会社に新卒で入社しました。その時にパートナービジネスに触れていくことになります。その後、2021年にちょうどコロナのタイミングで、SmartHRのパートナービジネス、当時は「事業開発部」という部署名で、関西エリア採用で募集があり、SaaSとは何なのかも全く知らないまま入社しました。

そこから主に関西エリアの金融アライアンスを担当しました。

当時は、SmartHRとしても金融アライアンスに着手し始めたタイミングで、まずは金融機関へのアプローチを徹底する方針で、関西2府4県の金融機関を回りながら開拓していきました

その後は中四国・北陸エリアのパートナー立ち上げにも携わり、現在は東日本全域を管掌しています。

SmartHRのサービスについて簡単に説明すると、主には労務管理のペーパーレス化です。年末調整や給与明細などのペーパーレスをやっていくと従業員の情報が集まっていき、従業員データベースが構築されます。そこを活用してタレントマネジメントにもつなげていきましょう、という「集まる→溜まる→活用する」のサービスです。ありがたいことに、労務管理の領域では7年連続シェアNo.1をいただいています。登録社数は7万社になっています。

葛西:
すごいですね、広島にも拠点があるんですね。

清水:
あります。僕もその拠点ができたタイミングで広島エリアを担当することになって、広島エリア担当のみなさんと一緒に切磋琢磨しながら働いてました。

第1部:パートナーのフェーズごとのTier設計

葛西:
ではここからいよいよパネルディスカッションに入っていきます。随時ご質問があれば、ライブQ&Aのシステムで匿名で質問を投稿できますので、どんどん投稿してください。

まず1つ目の内容です。パートナーのフェーズごとのTier設計の考え方。どういうTier設計で分けられているのか。高田さんの方から、スマートドライブさんでのTier設計についてお話しいただけますか。

■ スマートドライブのTier設計(Tier 1・2・3)

高田:
我々は現在、Tier 1・2・3という形で3つに分けています。SmartDrive Fleetというメイン商材のパートナー様における体制や実績の成熟度によって分けています。

具体的には、例えばTier 1では年間で数億円レベルの実績があるパートナー様です。一つ特徴的なのは、単にメイン商材の販売スキームだけでなく、さまざまなお互いの部門同士で連携して、会社の面での協業につながっている。そこが実現しているというところが特徴です。

Tier 2立ち上げ期です。契約締結自体は終わって、そのパートナー企業様で1社2社の成約は出てきているものの、ここからどう拡大していくかというフェーズです。

Tier 3探索選定期です。これからパートナーさんを選定するところから、場合によっては1社目2社目が売れてくるまでの、一番浅い段階ですね。

それぞれのTierに合わせて組織メンバーも所属させることで、スキルセットが揃いやすくなります。例えばTier 1チームに所属する人間は、月間で何十件と紹介いただけるパートナーさんの案件支援がメインになるので、そこに特化する動きに集中できます。逆にTier 3だと、そもそもパートナーになっていただくところのターゲティングから始めていく形になります。

1から3まで一つのメンバーが全部やるのはめちゃくちゃ難易度が高いですし、再現性のある組織化が難しいという考え方からも、こういった分け方をしています。

■ Tier分けの背景

葛西:
ちなみに、このようにフェーズを分けようと思った背景はどういうことなんですか?

高田:
実は具体的に言うと、Tier 1に該当するのはまだ片手で数えられるくらいなんです。ただ、会社全体の事業戦略として百何十パーセントの成長率で売上を上げていかなきゃいけない。その目線でいくとこのままごく一部に偏った売上だけでは到底届かないよね、というところから、Tier 2やTier 3、つまり売上までの中長期的な時間軸のところに早めからリソースやコストをかけていかないと将来的な成長を見込めない、という考え方から分け始めました。

■ SmartHRのTier設計:今年度から本格化

葛西:
続いて、SmartHRさんはこういう分け方をされていますか?

清水:
このように明確にパートナーさんのフェーズに合わせて組織を分けることは、実はやっていなかったんです。今年度から本格的に組織を分けながら、パートナーさんに向き合っていく形を取り始めたところです。私たちが後発といいますか、ようやく着手し始めたところですね。

もともとは立ち上げから新規開拓から深耕まで一人のメンバーが全て担当していました。パートナーさんへのオンボーディングからエクスパンションまで持っていくような動きもあまりできていなくて、基本的にはパートナーさんにお任せするか、直販側のCS部隊がフォローアップするという形で、我々パートナーチームが関与することがあまりなかったんです。しかしパートナーさんとしては、しっかり伴走することを求められていると分かり、今年度からその部署も立ち上げて本格的にやっています。

葛西:
パートナーさんのお声を聞いた紆余曲折があって、今年の組織体制に至っているんですね。

■ Tier間の移動にかかる期間

葛西:
Tier 3からTier 1まで、部署としても分かれている中で、Tier 3からTier 1になるまでの平均的な年数はどれくらいかかるのか、という質問が来ています。

高田:
正直に申し上げると、このTier間の移動はまだほぼ実現していません。Tier 3からTier 2への移動はあるものの、Tier 2からTier 1に来ましたというのはまだない。この組織体制になったのが大体1年半前くらいで、その時点でこれくらいの分け方ができるよねという配置をしたところがスタートです。

個人的な感覚としては、組織立ち上げから1年半、最短でもそのくらいはかかるんじゃないかという認識があって、巨大なパートナー様だと3年〜5年かかることもあります。実際にTier 1で一番人数を張っているところも、取り組みを始めて3年4年でやっと売上の基軸になってきました。場合によって2〜3年を見込まなくてはいけないという考え方は普通にあるんじゃないかなと思います。

第2部:パートナーセールスの組織体制

葛西:
次のスライドに移ります。組織体制について、2社にお伺いできればと思います。

■ スマートドライブの組織体制:15名・Tier別編成

高田:
我々は業務委託も含めて全部で15名ほどの組織です。左側からTier 1、2、3と分かれています。

Tier 1の中には、比較的大きな企業様でOEMとして商材を販売いただいているパートナー様がいますので、1企業に2名体制で担当していたりします。

真ん中がディストリビューター商流をメインとしたところです。我々はSaaSの比較的有名なサービスの皆様よりは、ディストリビューター商流で参画させていただくのは後発でして、本当にここ1年くらいなんですが、徐々に拡大しつつあります。

そしてTier 3の新規。まさに先ほどお伝えしたパートナー選定で、これから個人的にやっていきたいなと思っているのは、SmartHRさんが以前から力を入れられている金融機関さんのような、新たな商流自体を構築していくということです。

少し特徴的なのは、下に書いてあるP-CS(パートナーカスタマーサクセス)という部分ですね。これが直近作った職域なんですが、パートナー様経由で導入いただいた企業様のカスタマーサクセス・活用支援って、めちゃくちゃ難しいですし、パートナーの方から「ぶっちゃけ負担だよ」と言われることも皆さんめちゃくちゃあるんじゃないかなと思います。

個人的にはパートナー様の拡販体制における成熟度合いが上がれば上がるほど、このCS部分でお客様に喜んでもらうことによって、パートナーの方が「今までよりも手離れが良くなった」「顧客が本当に喜んでくれた」と感じてくださる。その結果、今まで紹介のなかった方から新たに紹介が得られるという経験がチーム内でかなり続きまして、作った職域がP-CSです。

葛西:
ちなみに業務委託の方はどういう役割ですか?

高田:
直販部門よりもご存知の通り、パートナー様との覚書やプレイヤー締結にまつわる事務的なやりとりで、直販であればもっと簡易化できているのにという部分で、パートナーグループの方がメンバーの負担が2倍3倍になったりします。その部分のアシスタント的な役割で動いてもらっています。AIの活用で少しでも軽くなるところはあるかなとも思っています。

■ SmartHRの組織体制:約80名・事業本部制

清水:
SmartHRの事業本部は約80名の組織です。パートナービジネス事業本部になったのが今年度からなので、今期からの体制です。もともと直販で伸びてきた会社で、ようやく少しずつ認められて事業本部にやっとなったというそんな組織です。

事業部は3つに分かれています。

パートナーアライアンスが私の所属している部署で、金融機関さん、販売代理店さんをメインにしている営業組織です。パートナーアライアンス内の部署は全部で4部ありまして、1部・2部が東日本を見ています。ここの割り方が業種別カットになっていて、1部が販売代理店メイン、2部が金融機関メインです。3部・4部はエリアカットで西日本を担当しています。

パートナーインキュベーション事業部には複数の部署があります。プロフェッショナルパートナー部は、導入支援のサポートや社労士の先生など、SmartHRの導入後に関わってくるパートナーさんを担当しています。プロモーション部はパートナー制度やパートナー会の企画を行っています。実は来週初めてパートナー会という会合をやるんですけども、そこの企画なんかを行っている部署です。

パートナーエンハンス部今年度できた新しい部署で、導入後にパートナーさんと協力して解約を防いだりする活動を行います。パートナーマーケティング部はパートナー事業本部ではなく、マーケティング部の配下にあります。

■ SmartHR初のパートナー会

葛西:
ちなみに、パートナー会はどんなことをやる予定ですか?

清水:
SmartHRの今後の戦略発表や協力が深いパートナーさんにご登壇いただくセッション、交流会などを行っています。パートナーさんと我々の関係値を深めていくだけではなく、パートナーさん同士にも交流していただいて、新たなビジネスチャンスを作っていただくのがメインの目的です。社労士の先生やBPOなど、いろんなパートナーさんに来ていただいて、様々なシナジーが生まれてくることを期待しています。

■ パートナー数

葛西:
参加者からいただいている質問なのですが、それぞれ何社くらいのパートナー数がありますか?

清水:
200社くらいですかね。

高田:
我々も締結ベースでいうとかなりありますが、正直アクティブでいうと10社程度です。

葛西:
パートナーの数が増えても、結局全部動くかというとなかなか動かないですもんね。

第3部:組織攻略とパートナーマーケティング

■ パートナーマーケティングの考え方 ― ポジ/ネガの分岐設計(スマートドライブ)

高田:
これはパートナーマーケティングの考え方です。我々の場合、OEMとして販売いただいている企業様は営業の方も数百名いらっしゃいます。我々は全従業員でやっと130名ほどですので、全国の拠点を回るにしても、どうしてもパートナー企業さんに対して訪問や電話・メールで「案件ありませんか」みたいな単一的な動きになってしまうところがあります。

そこに対して、各パートナー企業さんごとのカスタマイズされた動き方や流れを意識しています。これはTierを超えても非常に重要な考え方かなと思っています。オンライン・オフラインの施策において、施策実施後のポジティブ/ネガティブの分岐を設けています。勉強会やメルマガ等、ウェビナー等のコンテンツ実施後に、ポジティブな状況に対してはこういうアクション、ネガティブな状況に対してはこういうアクションをする。今までそこまで細かくは分類してなかったところを、しっかりとパートナー側の所感や反応によって、その後を分岐させてネクストアクションを設計する。このスタンスを我々のグループは非常に重要視しています。

葛西:
すごく細かく設計されているという印象を受けたんですけど、こういう情報は具体的にどうやって管理しているんですか?

高田:
これはめちゃくちゃアナログです。 スプレッドシートに、同行させていただいた方の何年卒か、その人の同期はどこにいるのか、極端に言えばその人の趣味とか、いろんな情報を蓄積するようにしています。

全国の営業所のある企業さんって、4月からバッと異動が発生したりするんですよね。そこで関係性がリセットされてしまうことが結構ある。こういう情報を蓄積していくことで、「初めまして」ではありつつ、「○○さんってどこどこ出身ですよね」のようなライトな話や「あの案件についてはご紹介や推進をいただいたようで、ありがとうございます!」 みたいな過去の推進案件のお礼話でスタートダッシュを取れるような関係構築ができるんです。

葛西:
パートナーセールスでも企業単位でフェーズを分けるのはもちろん大事ですけど、実際に案件を持ってくるのはパートナーの営業担当の皆さんですよね。パートナーさん側の営業担当個人の情報・特性をいかに管理して、異動の時にうまくその情報を活用していくかというのはすごく重要だと思います。

■ 営業プロセスの裏側にある「勘所」(スマートドライブ)

高田:
結構こういうコミュニティに参加される皆さんはSaaS系企業で営業周辺の経験をされてきた方が多いんじゃないかなと思います。SPINだったり、チャレンジャーセールスだったり、エンドユーザーの潜在的な課題を顕在化させるような営業プロセスについては既視感があって進めようとするものの、それに則ってだけ進めると「あれ? パートナー企業の営業の方が急に動いてくれなくなったな」みたいなことが起きます。正直、我々もめちゃくちゃ経験しています。

ただ、同じ企業の別の方によく聞いてみたら、いつも一緒にやっていた支店の支店長が「今は本業のこの数字をとにかく上げろ」と支店内で言っていて、それによって営業の方と一緒にやっていた商材を顧客に持って行きにくくなったとか、見積申請を支店内で上げにくくなったとか。かなり細かいのですが、こういった支店内・本部内でのパートナー営業さんのリアルな環境に解像度を上げていくことによって、「いやそんなこと言われても今は無理だよ」みたいなタイミングを減らしながら、先方の実情に沿ったコミュニケーションを促進できるのかなと思っています。

■ 「組織の解像度を上げる」を誰よりもやる(SmartHR)

葛西:
この辺り、SmartHRさんはどのように組織攻略をされてらっしゃるんですか?

清水:
一番大事なのは、組織の解像度を上げることを誰よりもやることです。SmartHRのパートナービジネスではかなり意識しています。

先ほどスプレッドシートで管理されているとおっしゃっていましたが、我々もずっとそれでやってきて、ここ最近だと生成AIを使い始めています。パートナーさんの情報を貯める箱を作って、得られた情報をなるべく蓄積して、AIに分析させて、「このフェーズでこういうアプローチをしているけどうまくいかない、どうしたらいいか」みたいなことを聞く。これはまだ全然できてないんですけど、これからやっていこうとしています。

いかに情報を貯めていくかが大事で、スプシで情報を集めている方も多いと思うんですが、それが属人化して陳腐化していくというところがある。しっかりデータベースを作るということが非常に大事で、最近はそういう形で取り組んでいます。

■ パートナー契約後、最初に何を聞くか

葛西:
パートナーさんの解像度を上げるといっても、いろいろ聞く情報があるじゃないですか。例えばパートナー契約しました、その最初の面談で「絶対に聞いてきてください!」とメンバーに発信しているのはどういう情報ですか?

清水:
まず予算ですね。どれくらいの予算を本気で持たれているのかは間違いなく聞きます。

あと、例えば金融機関であれば、本部から発信された施策に基づいて、各支店長・部長が現場に合わせた形で戦略・戦術を決めていきます。4月〜5月くらいまでに部長はある程度方針を固めて支店に展開していくので、そのタイミングで必ず「どういう戦略を持っていらっしゃるんですか」と聞いて、その背景・目的と予算をセットで確認します。我々とシナジーがあるかどうか必ず確認して、シナジーがあれば、「ビジネスマッチングはやらない」という支店長の方針だったとしても、その方針に沿って企画提案を合わせて持っていく。「やるべきです」とストレートにお話することで、「それだったらこのエリアからやってみようか」と、少しずつ攻略していきます。

第4部:Tier 1でのアクション ― CS支援による好循環

葛西:
Tier 1で意識しているアクションについて教えてください。

■ エンドユーザーの「良い体験」が新規紹介を生む

高田:
Tier 1のパートナーさんとは5〜6年ご一緒させていただいている中で、ここ1〜2年感じているのが、スマートドライブの商材について「自分の担当のお客さんには一周回ったよ」とおっしゃるパートナーの営業の方が増えてきていることです。

そうなるとアップセルやクロスセルはもちろんですが、そもそもパートナーの営業の方に毎回我々の商材を優先的に提案商材に組み込んでいただくのは結構ハードルが高い。

ただ、そういう状態を作るためには、まず既存で入れていただいている企業様から「SmartDrive良かったよ」とパートナーの営業の方に対して言ってもらう機会をいかに増やすか、というところに最近は視点をずらしています。

その結果、「あの件、入れてしばらく経っていたんですけど、○○さんに手伝ってもらったことによって、お客さんがすごく喜んでくれました。やっと活用できたって言われました」と。そういったパートナーのポジティブな体験から、新たな案件紹介が生まれたり、その人が今後新規営業していく時に「SmartDriveさんなら助けてくれる」という感じで提案に組み込んでいただける機会が増えるという印象があって、こういう活動を意識しています。

■ キーマンの既存顧客への活用支援

高田:
パートナー企業さんの支店内でよくキーマンを見つけるということは皆さんされると思います。そういったキーマンの方を選定して、実際にその方が担当している顧客の中で新規営業で一緒に向かうよりも、パートナー企業側の視点でまずこの担当顧客の活用を助けてほしいというところを一緒に可視化していく。

正直なところ、それのみですと内容としてはいわゆる活用促進であって、直接自社の売上にはなりません。しかし、そういったエンドユーザーにとって本質的な価値提供の機会を増やしていくと、確実にその方の支店内でメーカーの手助けについていい噂が立って、他の営業の方から新しい案件が来たりする。特に全国に営業所のあるパートナーさんは、エリアや営業所内でのつながりが結構強い印象があります。そのため、良い印象を抱いていただくためにも、若干遠回りですがCS的な支援をしてあげることで、結果的にエンドユーザーやパートナーにとってポジティブな体験を新たな案件紹介につなげていく、という動きです。

■ キーマンの選定:現場ではなく役職者

葛西:
キーマンの選定は最初を見誤ると大変なことになるんじゃないですか。SmartHRさんだと、キーマンの選定はどういう条件を満たす人を定義されていますか?

清水:
定例会や勉強会を行った時に、いろんなパートナーさんの営業担当の方が来られて、どの方が一番感度が高いのか、キーマンになりうるのかを見極めるのは本当に難しいです。

ただ最近、キーマンの特定について傾向があると感じているのが、キーマンは実は現場にはいないということです。キーマンは全て役職者に置くことを大事にしています。

現場の方針を決めているのは部長や課長だということもありますし、基本的にパートナーさんはトップダウン組織の傾向も強いと感じてます。方針にかなり左右されてしまう。現場の営業の方がすごく熱量がある方でも上の方針でグラッと紹介数が変わってしまうことがあるので、必ず現場の課長・部長を押さえることを意識しています。

葛西:
高田さんはどうですか?

高田:
個人的には新しい物好きの人はよく意識しています。例えば金融機関さんやリース会社さんだと、歴史も長いですし、数十年同じような種類の営業を極めていらっしゃる方も多い。そうすると、そもそも歴史が浅かったりするSaaSやデジタル系商材には壁がある方の方が多いんですが、中には逆に食いつきが良い方もいる。

あとは現場で「イケてる営業の人って誰なんですか」とシンプルに聞いて、複数人から名前が上がるような人は結構優先的にアプローチしていきたいですね。よくあるのは「トップセールスじゃないですか」みたいな声もありますね。

Q&A

葛西:
すでにたくさんご質問をいただいていて、全てお答えするのは正直難しいため、数個だけ拾わせていただきます。答えられなかったものは、この後の懇親会でぜひお二方に直接ご質問ください。

Q1. パートナーの探し方に苦労しています。導入企業がパートナーになるケースは多いですか?

葛西:
パートナーを探すところの話は今日はまだお話がなかったので、この質問については、まず清水さんにお聞きしたいです。立ち上げからやっていらっしゃると思うんですが、最初はそんなに問い合わせがめちゃくちゃ多くなかったはずですよね。初期はどのようにパートナー開拓をやっていたのか、ぜひお話しいただきたいです。

清水:
確かに導入企業さんがパートナーになるのは間違いないですし、絶対に注力したほうがいいです。SmartHRだと、実際にパートナーの営業の方もSmartHRを使っていますので、良さを知っている。お客さまにも自分の画面を見せながら提案ができるので、間違いなくスケールします。

当社の初期では、パートナーさんに導入していただけるところを回りつつ、基本的に電話をかけて「うちを扱っていただけないか」というテレアポを積極的にやっていました。メンバーでもパートナーに1日数十コールくらいかける日もありました。

当初はどのパートナーさんがSmartHRに親和性があるのかよく分からなかったんですよね。やっていく中で金融機関さんがかなりいいんじゃないかという仮説ができました。SmartHRを提案する時に必ず決裁合意を取るところがボトルネックになるという直販側の課題があったんですが、金融機関さんであれば決裁者層の方が出てくることが多いので、決裁者との合意がしやすいという発見がありました。金融機関さんもテレアポで開拓したりしていましたし、あとは紹介ですね。士業の方にご紹介をいただいて、イベントに呼んでいただいて、名刺交換をしてなんとか繋いでいただくというような地道な活動をして、約40〜50の金融機関さんと今は取引をしています。

葛西:
初期にテレアポを選んだ理由は?

清水:
当時全くどうしたらいいか分からなかったんですよ(笑)。 とりあえずやらなきゃ、やってみようっていうので、パートナー候補をリストアップし片っ端からテレアポをしました。セールス部門とも連携してパートナー候補との接点の機会をいただいて、ひたすら活動していました。ありがたいことにSmartHRがぐっと成長していって、お問い合わせがすごく増えて、そこからはお問い合わせ経由でパートナーを選定して動かしていくことがメインになっていきました。

金融機関さんも、本部の方とようやくパートナー契約を結べても、支店を紹介してはくれないんですね。メイン業務ではないので。そのため支店の方と接点を作ることにはすごく苦労しまして、支店への飛び込みもしました。とあるメガバンクの大阪の支店に飛び込みをして、名刺を置いて、なんとか繋いでいただいて、そこから勉強会をして…本当にそんな活動をずっと行ってきました。泥臭く本当にやっていた感じですね。

高田:
今、清水さんがおっしゃっていただいたような活動はうちはまだできてないなと思ったので、うちもやらなければと思いました笑

2つ分かりやすいポイントがあると思います。一つは、自社商材の一番筋のいい業界に対して、販売や営業することに慣れているパートナーさんかどうか。もう一つは、自社商材を売る際に相対する部門が合致しているパートナーさんかどうか。我々のSmartDrive Fleetだと総務部門がメインなので、そこに営業できるパートナーさんを見ています。その上で、理想なのはパートナーさんと一緒にやることで本業が伸びることを示せること。例えば車両のリース会社さんの場合、車両管理サービスを入れていただくことでエンドユーザーの車の動きが見える。その稼働率データを活用して自社のリース商材を提案できるようになって、本業につながるというところまで示せると、パートナーの反応は比較的良くなるかなと思います。

Q2. パートナー同士の協業セット提案は増えていますか?

葛西:
パートナー同士での協業セット提案、近しい商材とセットでパートナーさんが売ってくれるパターンが増えているのかという質問です。

高田:
提案自体はしています。ただ、両社のサービスを使うことによるシナジーを提示できないと、なかなか優先的にセット提案してくれないと思っています。例えばSmartHRさんの勤怠管理と我々の車両管理のシステム連携を含めた提案ができると良いなということを、ちょうど今画策しています。

葛西:
これを機にSmartHRさんとやってみていただくのもいいんじゃないでしょうか(笑)
SmartHRさんはそのような事例はありますか?

清水:
我々のパートナービジネスの中でも、パートナーさんと連携しながらセット提案を持っていきましょうということで、合同勉強会をしています。

競合にもなっているようなメーカーさん・ベンダーさんとも、あえてセット提案でパートナーさんに訴求するということもやっています。パートナーさんからはどの商材もほぼ一緒に見えてしまうこともあるので、だったら分かりやすく「このパッケージで覚えてください」という形でやっています。

直販だと競合になっていても、パートナーさんが売る場合、「どれだけ早期に想起させるか」がすごく重要なので、ある種、競合ともうまく一緒にやっていくというのも一つの手段ではないかなと思います。

最後に

スマートドライブの高田氏とSmartHRの清水氏、異なる規模・フェーズの2社から、パートナービジネスにおけるTier戦略と組織攻略の非常にリアルな知見が語られたセミナーでした。本レポートが、パートナービジネスの戦略設計や組織構築の参考になれば幸いです。

また、今回は昨年11月に開催させていただいたアドベントカレンダーからのスピンオフ企画としてセミナーを開催させていただきました。

パートナーセールス研究会としては初めて表彰式という形で、アドベントカレンダーのMVPを獲得されたスマートドライブ 高田さんの表彰式も実施させていただきました!

MVPの盾を授与

スマートドライブの高田さんですが、なんと今回のアドベントカレンダーのnoteで123件ものスキ(いいね)を獲得…!

本当に素晴らしいnoteでしたので、皆様ぜひ読んでみてください!

https://note.com/human_sable2162/n/n967f41983943

MVP受賞の記念撮影

パートナーセールス研究会では今回の表彰式をきっかけに、今後さまざま表彰の場を用意させていただきたく考えております!

皆様、是非楽しみにしていてください!今後ともパートナーセールス研究会をよろしくお願いいたします🙇‍♂️

パートナーセールス研究会へご興味をいただけた皆様へ

パートナーセールス研究会は、


「パートナーセールスに特化した国内最大級のコミュニティ」


です。


パートナーセールス研究会にご興味いただける方、以下のようなご意向のある方は、是非ご参加ください!


これからパートナービジネスを開始されるため、立ち上げ方を学びたい
パートナービジネスを成長させるためのノウハウ・一次情報を獲得したい
パートナービジネスに関わる者同士の横のつながりがほしい
✔ パートナー(代理店)を増やしたい、取り扱い商材を増やしたい


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