パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
12/17(水)に、カクトク株式会社様主催の「事例から学ぶ、パートナーセールスの全体像と活用方法について」に登壇させていただきました。今週は、そのセミナーレポートを書かせていただきます。
第1部:そもそもパートナーセールスとは

葛西:
パートナーセールスが今注目されている背景ですが、直販だけだと限界に直面している会社が増えています。大きく課題としては3つあると捉えています。

- CACが非常に高騰していること
- 採用難、育成コスト増による営業リソースの限界
- 新規市場へのリーチ不足(自社マーケティングで獲得できるリード数の限界)
この3つが課題となって、パートナーセールスが注目されています。
パートナーセールスを一言で言ってしまうと、「自社製品・サービスを代理で販売・紹介してくれるようなパートナー企業さんと連携して、事業成長を目指すような営業手法」となります。

ただ、パートナーセールスは非常にメリットがある一方で、やはり魔法の杖ではないので、難しいところも多々あります。特に日本という国におけるパートナービジネスという観点でいくと、4つの構造的課題があると考えています。

- 1つ目:「メーカーとパートナーのパワーバランス」
└パートナーの方がメーカーよりもパワーが強いケースが非常に多い - 2つ目:「トップダウンの機能不全」
└パートナーさんの方がパワーが強いこともあり、最初の段階でパートナー側と目標設定をする難易度が極めて高い - 3つ目:「画一的なKPIの限界」
└直販だとシンプルにKPIを設計しやすいが、パートナービジネスだとKGI/KPI設計が非常に複雑
└パートナー企業単位で習熟度が違う、営業担当者ごとでも習熟度が変わるため、それぞれに見合ったフェーズごとのKPI設計が必要
└結果として、どうしても複雑性を孕んでくる - 4つ目:「活動のブラックボックス化」
└成果につながる活動を可視化するのが難しい
└パートナーさんが好む方法で連絡を取るため、コミュニケーションツールがバラバラになり、データが集まりづらいことがボトルネックになる
葛西:
パートナーセールスがうまくいっている会社の特徴は何かというと、顧客・パートナー・自社、この三方がWin-Win-Winの状態になっているところです。

加えて、パートナー企業さんの中にいかに自社の商材を売ってくれる、好んでくれる「ファン」をどれだけ増やすか。パートナービジネス=ファンマーケティングという思想でやっていらっしゃる会社さんは、結構うまくいっているのかなと思っています。
実践的な運用方法において、本当にいろんな方法があるんですが、最低限これだけはやっておいてほしいというのがこの5つです。
- 1つ目:「徹底的に相手を知る」
└相手にメリットを提示するために、相手の会社の人以上に詳しくなっておくくらいの気持ちでやっていく必要がある - 2つ目:「売りやすさ・提案環境の構築」
└売りやすさを担保できないとなかなか販売していただけません - 3つ目:「コミュニケーションチャンネル」
└パートナーさんが望むやり方に合わせるのが重要
└例:Chatworkでのコミュニケーションが主体であればChatworkでチャンネルを設ける - 4つ目:「即レスと深掘り」
└問い合わせへの迅速対応は必須(遅いとほぼ嫌われる)
└問い合わせがある=関心を示している証
└問い合わせの背景などを深掘りすると、さらに関係構築が強化されていく - 5つ目:「定期的な接点を取り続ける」
この5つは、最低限うまくいっている会社はどこもやっています。加えて、パートナー企業さんの中で、自社のファンをどれだけ作るか。この「パートナーセールス=ファンマーケティング」こそが、パートナーセールスの肝であると考えています。

最近のトレンドをお話しすると、これまでは「メーカーとパートナーが協力して販売する」モデルが主流でしたが、最近はパートナー企業側も取り扱う商材数をたくさん抱えています。そういった背景もあり、新しく商材を取り扱ってもらう難易度が上がっています。
そのため最近のトレンドとして、複数のメーカーと複数のパートナーさんが共創して成長していく「エコシステム」を構築するようなモデルが主流になりつつあります。パートナーセールスの全体感としては以上になります。
第2部:パートナーセールスを知るための5つの答え

カクトク 出久地氏:
ありがとうございます。では、続けて第2部に入ります。「パートナーセールスを知るための5つの答え」というところで、葛西さんにしたい5つの質問をご用意しました。
■抑えるべきパートナー開拓方法

●どんな開拓方法がある?
カクトク 出久地氏:
1つ目の質問「抑えるべきパートナー開拓方法」です。販売代理店の方々をどうやって見つけてくるのか。いかがでしょうか?
葛西:
大きく分けると「プッシュ型」と「プル型」の2つに分かれます。プル型でいうと、自社でパートナー募集用のLP(ランディングページ)を作ったり、プレスリリース配信やSNSでの拡散を行い、そこから応募を募るやり方。あとはWeb広告を回すのも一つの手段です。
プッシュ型では、代理店募集サイトや副業募集サイトに載せるのが1つ。あとは純粋にアウトバウンドでテレアポや問い合わせをする手段。あとはリファラル。社内の方の知り合いを紹介してもらったり、既存ユーザーさんにパートナーになってもらう。
少し変わり種だと、直販で展示会に出展した時に「パートナー募集」を大々的に掲げるのも1つです。直販のマーケティング費用の中で一緒にやれてしまうので。展示会でそれを見て来られた方は、興味を持って話しかけに来てくれるので、初期フェーズで動かしやすかったりします。
●パートナー企業になってくれる会社をどこで探せばいい?アクティブな代理店と沢山知り合うには?
カクトク 出久地氏:
なるほど。見込み顧客を獲得するついでに、販売店さんや代理店さんが来てくれるイメージですね。ありがとうございます。種類が多いですが、その中でも「最も効率的」「まずここを抑えよう」はどれですか?
葛西:
1番やっておくべきなのは、既存ユーザーさんへのヒアリングです。パートナーの数をどれくらい伸ばしたいかにもよりますが、既存ユーザーさんに「どういう業者さんが出入りしていますか?」とヒアリングする。
例えば、人事部がエンドユーザーなら、他にどういうRPO(採用代行)の会社や人事コンサルが入っているのかを聞いて、あわよくばその先を紹介してもらう。1番手っ取り早く、かつ確度が高そうな方法です。
カクトク 出久地氏:
リファラルに近いんですね。それをやった上で、プル型やプッシュ型から自社に合いそうなものをやるイメージでしょうか?
葛西:
そうですね。逆にパートナーの数を一気に増やさず絞り込む場合は、ピンポイントにアウトバウンド(テレアポや問い合わせ)でやっていく方がいいと思います。
下手にLPを作ったりSNSで発信したりすると、面が広がって、自分たちが組みたいパートナーさん以外が入ってくることもあります。絞りたい場合はアウトバウンドが1番いいですし、直の商談獲得よりアポ率は高い傾向があります。
カクトク 出久地氏:募集サイト経由は有効ですか?
葛西:
有効なケースとそうじゃないケースがあります。知名度のある商材や分かりやすい商材は有効的に働くケースも多いです。一方で、非常にバーティカルな領域だったり、ニッチな商材、知名度がない商材だと、代理店募集サイトは相性が悪いことが多いです。
カクトク 出久地氏:知名度がなく分かりづらい商材の場合、どこで見つけたらいいですか?
葛西:
よくある手段は「業界団体」に入ってしまうことです。例えば建築系のバーティカルSaaSなら、建築系の協会に加入する。そうすればエンド顧客にも会えますし、パートナーにも会えるので、狙いたいところにアプローチしやすいです。
② 適切な手数料設計とは?

●どんな設計が良いの?
カクトク 出久地氏:
次に手数料の部分、インセンティブ設計についてです。手数料は商材で難易度が違うと思いますが、ベーシックなところで、設計はどんなことから始めればいいでしょうか?
葛西:
前提で手数料の支払い方には、ショット型(単年)とストック型(継続)の大きく2つに分かれます。これをどちらにするかは、パートナーさん側の「組織構造」を理解した上で考えるのが1番いいです。例えば、既存顧客のリピート売上が大半を占める組織のパートナーさんの場合、ストック型の方が動かしやすいです。なぜかというと、営業担当者からすると、ショット型で今期売上が上がっても、翌年度はその分が自分の目標に上乗せされてしまう。
そうなると「どうやって補填しよう」という思考になる。なのでリピートが多いところには継続手数料を設ける方が好まれます。一方、新規開拓がメインの会社さんならショットで大きい金額の方が走り出しが良い。パートナーさんの組織の構図、売上構成に着目して設計されると良いです。金額面では、ショットならCACの範囲内か、継続課金なら自社のLTVも加味して設計することが重要です。
●手数料が合わない場合はどうすればいい?いくらなら動いてくれる?
カクトク 出久地氏:
交渉の中で「うちはこういうスタイルがいい」「いくらがいい」と言われて対応できない場合、諦めるのか、粘り強く社内をまとめるのか、皆さんどうしていますか?
葛西:
依頼をされているパートナーさんを、メーカーとして「トップパートナー」として重点的に抑えたいかどうかで変わります。重点的であれば個別交渉に応じざるを得ない。ただ、手数料の種類を増やすと管理が煩雑になるので、特別フィーみたいなものを作る場合はトップパートナーにしたい、育成したいところに絞る方がいい。手数料を変えられない場合は、手数料以外でパートナーさんのメリットになるところをたくさん作ってあげる方法しかないと思います。
③パートナーとの付き合い方(コミュニケーション)とは?

● コミュニケーションの頻度は?やっぱり会うのが大事?
カクトク 出久地氏:
よく私が葛西さんとお話させていただいている時に、「パートナーがいっぱいいるんだったら、やはり飲みに行った方が良いのか」「どれくらい密に付き合うべきか」という話をよくしますが、このあたりの付き合い方について、包括的に教えていただけますでしょうか。
葛西:正直、パートナー側の営業担当者の個人特性もあるので頻度を一概には言えません。ただ、相手のタイプを見極めた上で、一番合ったコミュニケーションスタイルを心がけるべきだという点は間違いありません。加えて、質問があった時の「即レス(迅速な回答)」は非常に重要です。目安としては、どんなに遅くても1時間以内です。
カクトク 出久地氏:なるほど。
葛西:すぐに回答できない内容もあると思いますが、その場合でも回答を遅らせるのではなく、「回答に時間がかかりそうなので、もう少しお時間をください」といった一次回答だけでも必ず1時間以内にすることが重要です。
カクトク 出久地氏:相手も営業のプロですから、連絡が遅いと「遅いな」と捉えられますよね。
葛西:どうしても印象が悪くなってしまいます。例えば、他の商材を扱っているメーカーのパートナーセールス担当者がめちゃくちゃ即レスだった場合、当然そこと比較されてしまいます。
カクトク 出久地氏:そうですよね。「毎回会いに来てくれたり飲みに誘ってくれたりするけれど、メールのレスがめちゃくちゃ遅い」となると、仕事の関係としてはやりづらいと思われてしまいますね。
● ご無沙汰になってるパートナーとどう付き合う?
カクトク 出久地氏:
ありがとうございます。パートナーが増えてきた会社の中には、「ここは密に連絡できているけれど、あちらはご無沙汰になっている」といった休眠状態のパートナーを抱えているケースもあると思います。そのようなパートナーを再び復活させるための「きっかけ作り」として、どのようなことをされていますか?
葛西:
正直に申し上げますと、一度音沙汰がなくなってしまったパートナーさんを復活させるのは、難易度が非常に高いです。そのため、休眠を復活させるより真っさらな新しいパートナーとの取り組みを深くしていくメーカーさんが多いのが実情です。
それでもなお掘り起こしたいということであれば、まずは「お会いする口実」をどう作るかが重要になります。分かりやすいところでは、新しい機能のリリース報告や、昔ながらのやり方ではありますが「自社の役員を連れて行きます」といったきっかけを作り、そこからもう一度関係構築をしていきます。
一度休眠している以上、向こうはマイナス印象が強いはずです。そのため、信頼を回復するには、相手が困っていることや課題に徹底的に向き合い、そこにGiveを重ねて信頼残高を貯めていくことが、休眠パートナー復活における一番重要なポイントになります。
カクトク 出久地氏:
ありがとうございます。よくお客様から「販売代理店を100社契約しているんですよ」と仰っていただくことがあるのですが、実際に動いている社数を聞くと「2、3社くらいかな」という回答が返ってくることがあります。「残りの90数社はどうするんですか?」と聞くと、「なかなか動いてくれないんだよね」と仰る方も多いです。
今のお話を聞くと、やはり数だけを一気に増やすよりも、一社一社との丁寧な関係を保ちながら増やしていく方が良いのでしょうか?
葛西:
基本的には一気に増やさない方がいい、というのは仰る通りです。ただ商材の特性によっては増やした方が正解の場合もあります。
例えば採用領域だと、フリーランスで採用コンサルをしている方が多く、優秀な営業能力やノウハウを持っています。こうした方々には、とにかく認知を取り続けることが重要です。ふと思いついたタイミングで「この課題ならあの商材がはまる」とホットな顧客を紹介してくれる。こうした「個の能力」が強い人が多い市場なら、パートナー数を増やし、その中で「第一想起(真っ先に思い出してもらうこと)」を取り続ける戦略もあります。
④ 第一想起してもらうためにすべきこと

●他社に負けないようにするには?
カクトク 出久地氏:
ありがとうございます。先ほどのお話とも関連しますが、やっぱり「自分たちの会社を1番に覚えてもらう」「1番に売ってもらう」みたいな、「第一想起」の部分も深掘って聞きたいなと思います。
パートナーさんの中には、こちらが「忘れられちゃっている」ケースもあると思います。たとえば、「最初に契約した時はめちゃめちゃ鼻息が荒かったのに、最近はあんまり音沙汰がないな」のようなケースですね。
そういった状況について、他社の商材に負けないようにするために、どのような取り組みをされているのか、現場での工夫や考え方を知りたいと思っています。
葛西:
そうですね。冒頭の話と少し被ってしまうのですが、下記のポイントがあると思います。
- ポイント1:相手を徹底的に知る/メリットを作る
└相手を徹底的に知り、相手に対してその商材を売ることのメリットをどれだけたくさん作れるかが重要 - ポイント2:売りやすさ(売りやすい環境・分かりやすさ)
└売りやすい環境が整っていないと、売るハードルも上がるため、どれだけ売りやすい環境を作るかが重要
└パートナー契約初期フェーズで「いきなり商品の全てをインストールする」のは正直無理
└「認知に特化してこれだけ覚えてください」からスタートするなど、「分かりやすさ」を担保するのが重要 - ポイント3:コミュニケーションの取りやすさ
└即レスを含めた、コミュニケーションの取りやすさを意識すること
└定期接点を取り続けることも重要
葛西:
最近だと、先ほどのトレンドでもお話しした、「自社だけで完結せず、競合ではないんだけど近しいメーカーさんと一緒に組んで、セットの座組を作ってあげて展開する」。パートナーさんからすると、例えば2商材売れたらその分単価が上がるので、非常に喜ばしいですよね。
ですので、このような「自社だけに囚われず他社ともうまく手を取り合いながらやっていける柔軟性」みたいなところも、他社に負けないようにするポイントですね。
カクトク 出久地氏:
近しいサービスだと少し距離を取りたくなりますが、売ってもらうことを第一に考えると、そういったコラボした上で代理店さんに頑張ってもらうことも必要なんですね。
葛西:
そうですね。判断は悩みますが、中には競合であっても、例えば「A社の商品はエンプラ向けで、B社の商品はSMB向け」という風に明確に分かれているようであれば、もうターゲット顧客で明確に区切ってお互いにうまく組んでみる。パートナーさんに『エンプラだったらA社の商材を紹介して、SMBだったらB社の商材を紹介して』みたいな形で一緒にパートナーを深耕していくというやり方を取っているメーカーさんもあったりします。
カクトク 出久地氏:なるほど。かなり調整は難しそうですが、販売を拡大するために、しっかりそこはやられているんですね。
葛西:はい。なので「ビジネスを柔軟に考えて組み立てられるか」というところや、他社との差別化、負けないようにするという観点が、積極的に拡販推進していく上で重要なポイントだと思います。
●知名度がない会社でも売ってくれるの?印象を残すために必要なことは?
カクトク 出久地氏:
ありがとうございます。「印象に残すために必要なこと」や「知名度がない会社でも売ってくれるの?」といった話は、さっき若干触れた部分もあると思うのですが、ここでは「知名度・優位性がない場合」について伺いたいです。
たとえば、「あんまり優位性がない」という状況だと、「ちゃんと売ってもらえるか心配」という恐怖心を持つ方も多いと思います。その中で、「まずこれをやりましょう」というアドバイスを1ついただければと思います。
葛西:
知名度がない会社でも、やり方次第で売ってくれる可能性は十分あると考えています。
何をやるかで言うと、そもそもパートナー側にメリットがないと動かないので、メリットをどれだけたくさん用意できるか。それと売り方の面で、「売りやすいストーリー設計」をどれだけしてあげられるか。ここに尽きると思います。その仕組みをうまく作ることが重要ですね。
また、「印象に残す」という点でプラスアルファでお話させていただくと、「他社がやっていない取り組みや支援」をパートナー向けに行うこともポイントになると思っています。
たとえば、パートナー側で実際にお客様へ提案されるのは現場の営業担当の皆さんなので、メーカーとして「営業のスキルアップのための研修」や「マネジメント研修」を開く。あくまで「自社の商材を売ってくれるための研修」ではなく、「営業としてのスキルアップ」という名目で実施する、という形です。そうすることで、結果的に「登場回数が増える=認知が取れていくことにもつながります。
あとは、ノベルティも多くの会社がやっていると思いますが、適当に作るのではなく、「他社がやっていないもので、かつ、自分で買おうとは思わないけれど、あったらいいな」くらいのものを用意する。さらに、そこに「ゲーミフィケーション」をかけて、「何件(案件紹介)したら何々を渡します」といった設計をすることで、存在感を上げていく。こうしたやり方も手段の1つとしてあります。
カクトク 出久地氏:なるほど。手帳やカレンダーはどうなんでしょうか。
葛西:カレンダーは、私は絶対にやっていなかったです。皆さんが用意されるので…。
カクトク 出久地氏:このあたりのセンスは、担当者の方に問われる部分かもしれないですね。(笑)
● パートナーが動かない時の「自責思考」
カクトク 出久地氏:
最後に1つだけ、この部分で伺いたいことがあります。たまに「代理店が売ってくれないんだよ」というスタンスの方がいらっしゃるんですよね。「動いてくれないんだよ」と言われるケースもあります。でもそれって、「動いてくれない」ではなくて、「自分たちの努力が足りない」という認識で合ってますか?
葛西:その認識で合っています。他責思考である時点でパートナーさんは動いてくれないです。
カクトク 出久地氏:
「何社も契約してるけど全然売ってくれなくて、売ってくれないからどうしようか迷ってるんだよね」という声も、たまに聞きます。そこで「アクティベートやフォローはどうしてるんですか?」と聞くと、「サポート部門がない」といった状態のケースもあって、それってどうなんだろう、と思ったところから、興味本位で伺いました。
⑤ 限られた予算でパートナーをいかに増やすか

● 費用をかけずに出来ることってあるの?
カクトク 出久地氏:
最後に、予算の部分について伺います。パートナーセールス自体がまだ理解されていない企業もあって、予算が取りにくい・取れないという声も聞きます。限られた予算で、パートナーをどう増やすか。このあたりをお話できればと思います。費用をかけずにできることとして、パッと思いつくものはありますか?
葛西:
「パートナーの数を増やす」、かつ「費用をかけない」となると、先ほども話したリファラルや、既存ユーザー(ユーザー企業)にパートナーになってもらう、あとはアウトバウンドですね。それと、展示会に出展するついでに、パートナー募集も付けるというのは、すぐにでもできる無料の施策だと思います。
● どれぐらいお金をかければいい代理店さんと出会える?
カクトク 出久地氏:
逆に、費用をかければかけるほど、いい代理店・パートナーに会えるのか、という観点ではどうですか?
葛西:
費用をかければかけるほど会えるかというと、そうではないと正直思っています。たとえば「月100万円くらいかければ、いい代理店に出会えるのでは」とか、「イベントに出まくれば見つかるのでは」と考える方もいると思いますが、これは半分正解で、半分はそうではないと思っています。
理由はシンプルで、代理店は「前提条件がいいから来る」というより、パートナー側が『この商材は自分たちで勝てる・売れる』と確信した時に動くからです。なので、「いい代理店を探す」という観点では、最初から探して見つかるというより、深く付き合う中で、結果的に残ってくるものだと思っています。つまり、お金をかけたからいい代理店に会えるとは限らない、ということです。
● 費用対効果はどう測れば良い?
カクトク 出久地氏:
コストを一定掛ける/掛けないもあると思いますが、費用対効果を見ていく際、KPIをどこに置くかもあると思います。販売店の数なのか、成約数なのか、商談数なのか。皆さん、どこに置くケースが多いですか?
葛西:
まず、パートナーがゼロの段階だと、パートナーになってくれる会社を探さないといけないので、基本はパートナー契約社数を置きます。
一定の目標値まで達し始めたら、次は事業計画にもよりますが、半年後、1年後に開拓したパートナーから自走しているパートナーが何社残ったかが次のポイントになります。
パートナーセールスはどうしても時間がかかるので、仮に「半年後に自走している代理店が何社残ったか」を軸に置くとすると、フェーズごとに見るべき指標は変わります。
- 0〜3ヶ月(短期)
└初回の提案数が何件あるか
└相談同席の依頼が何件あるか
└パートナーからの質問数が月に何件来ているか - 3〜6ヶ月
└月1件以上の相談創出がある会社がどれだけあるか
└自主的な商談改善案を出してくれる会社がどれだけあるか
└優先度がどれだけ上がっているか
※このタイミングで離脱する会社も増えてくる - 6〜12ヶ月
└月の商談数、受注率、受注数
フェーズによって置く指標を変えるのが良いと思います。費用対効果という観点では、半年後/1年後に自走しているパートナーが何社いるかが、パートナー開拓における費用対効果を測るポイントだと捉えています。
カクトク 出久地氏:
なるほど。やはり長期で見ていく必要があって、短期で結果を出すのは難しい、ということでしょうか?
葛西:
はい。私が聞く中で、短期で成果を残しているケースはほぼなくて、残せるケースは大きく3つくらいです。
- メーカーのプロダクトの力が非常に強い場合
└例)SlackやZoomなど - 法改正があった場合
└対応が必須になるので、法改正に付随するサービスはメーカーの立場が上になりやすく、初期から動き出すケースが多いです。 - マーケット背景に合った商材
└例:コロナ禍でリモートが増えてWeb会議が流行り、Zoomが一気に売れた、電子サインが流行った、など
└こうした市場環境の大きな変化やトレンドに合った商材は、最初から走るケースがある
この3つ以外で、最初から短期で一気に上がるケースは、ほぼないと言っていいと思います。
カクトク 出久地氏:
ある程度、外部環境も味方してくれないと、一気に上げるのは難しいということですね。
葛西:
そうですね。数ヶ月のスパンで成果を上げるというのは、非常に難しいと思います。
カクトク 出久地氏:
なるほど、ありがとうございます。ちょうど今ので5つ目の質問も終わりなので、次のフェーズで、おさらいも踏まえてお話しできればと思います。
第3部:パートナーセールスと営業外注の棲み分けとは?

カクトク 出久地氏:
第3部は、パートナーセールスと営業外注の棲み分けについてお話しできればと思います。営業外注はカクトクの領域でもあります。項目は「戦略・専門性・マネジメント・コスト・KPI・成果までの時間」の6つです。かいつまみながら会話ベースで進めたいのですが、パートナーセールスで「ここがとにかく大事」「ここは覚えておいた方がいい」という点があれば教えてください。
葛西:
この6つの軸でいくと、特に「KPI」と「成果までの時間」は重要なポイントだと思っています。パートナーセールスは、構造上パートナー側の方がパワーバランスが強いケースが圧倒的に多いので、初期段階からKPIを握るのは難易度が高いです。
それに付随してインストールコストがかかるので、成果が出るまで時間がかかる点も、どうしてもあると思います。一方で営業外注は、ここが真逆だと思うのですが、どうですか?
カクトク 出久地氏:
そうですね。KPIの設定という観点で言うと、外注費を固定で支払う形であれば、KPI設定は可能です。パートナーセールスは成果報酬が基本だと思いますので、成果報酬だと「動くか動かないか」「売りたいか売りたくないか」が代理店側に寄ってしまいます。もし「いつまでに成果が欲しい」という時間軸が決まっているなら、外注の方がいいのかなと思っていました。
私も葛西さんの話を聞くまでは、パートナーセールスはコネクションがあるからすぐ売ってくれるのかなと思っていたのですが、設計や代理店へのインプットに時間がかかると聞いて、インストールコストは重たいのかなと思いました。やはり商材が多い中で覚えてもらうには、覚えやすさを重視するのが大事だと思うのですが、どうですか?
葛西:
はい。商材が多いパートナーだと、1000種類を超えるということが普通にあります。なので、インストールコストはやっぱりかかりますね。その点、営業外注は固定報酬である以上、KPIは設計できますし、インストールの度合いによっては短期の成果にもつなげやすいと思います。
短期成果を求めるなら、正直、営業外注の方が早く成果を上げやすいと思います。一方で、中長期的に伸ばしていく、非連続的な成長を遂げていく視点でいくなら、パートナーセールスは非常に有効だと思います。

カクトク 出久地氏:
外注は費用が発生しているので時間軸が決まっていて、その期間で何ができるかに対していくら払うか、という話になります。短期で一定の成果を出さないと「外注会社がダメだった」という話にもなりがちです。
一方でパートナーセールスは、緻密にしっかり構築していく必要があるし、構築する社内体制も大事ですよね。
葛西:
社内体制も大事ですし、パートナービジネスが営業戦略の一環ではなく、経営戦略の一環に入っているかどうか、経営陣からの後押しがあるかどうかも、うまくいくかいかないかの大きなポイントだと思います。
カクトク 出久地氏:
全社を上げてしっかりできるか、という話ですよね。たまに片手間でやっている方もいらっしゃると思います。否定はしませんが、片手間でやるとあまりうまくいかないですか?
葛西:
そうですね。正直あまりうまくはいかないですね。
カクトク 出久地氏:
総括すると、パートナーセールスは「販売を強化したい」「新たなチャネルを開拓したい」「CPA/CACを抑えたい」「営業リソースが足りない」といった企業に向いていて、中期的に大きな成果につながるところがポイントです。葛西さんがおっしゃったように、中長期的に非連続の事業成長を実現したい方にはパートナーセールスがおすすめ、というまとめになります。
一方で営業外注は、営業戦略からやってほしい場合や、そもそも自社商材をあまり売ったことがない零細スタートアップ・中小企業が使うケースが多いと思います。特に戦略や時間軸が決まっていて「いつまでにどれくらい成果を上げたいか」が明確なら、短期として外注を使った方がいい、という整理です。よく使われるケースとしては、戦略がない、売り方が分からない、自信がないといった企業に対して営業外注を勧めることが多いです。
第4部:営業外注活用と事例

カクトク 出久地氏:
最後は私のパートとして、カクトクで営業外注の活用と事例をさらっとお話しし、最後に葛西さんとエンドトークしたいと思います。
カクトクは、営業の外注を依頼できるプラットフォームとして、かれこれ10年ぐらいやってきました。私も今はマーケティングをやっていますが、いろんな企業様のお悩みを抱えている企業様をご支援してきました。弊社では営業の方々を審査しているので、審査した営業の方々をご提案し、最終的に企業様にご判断いただく形です。
プロの営業の方々として、元代理店の方や、パートナーの中でも代理店を一部やっていたり、代理店のマネジメントをしていたりする方もいます。出身企業で言うと、有名企業をはじめとした、様々な営業の方々がいらっしゃいます。そういった背景もあって、営業外注という選択肢を取る企業様も最近増えてきました。
使い方に関しては、お問い合わせいただければ何でもお話ししますので、興味ある方はお問い合わせいただければと思います。事例としては、大手から様々な企業で、短期で受注を取りたい、持続的な営業組織を整えたい企業様が使っています。費用対効果はパートナーセールスとも同じく重要ですが、売上成果として短期で上げたい企業様がよく使っています。
本日のセミナーに込めた想いについて
カクトク 出久地氏:
葛西さん、今日お話しいただいた上で、「こんな想いが伝わればいいな」というものがあれば教えてください。
葛西:
少しでも、パートナーセールスがどういうものなのかを知っていただきたい、というのが一番強い思いです。パートナーセールスが注目されている理由のパートでもお話しましたが、最近はパートナーセールスを「魔法の杖」だと思っているような誤った捉え方も増えてきています。
ただ、そんなに短期ですぐに成果が出るものではありません。パートナーという自社以外の方々に売っていただくモデルなので、一定の時間はかかります。特に経営陣の方を中心に理解していただきたい、というのが今強く思っているところです。
カクトク 出久地氏:
なるほど。ありがとうございます。葛西さんが支援されている企業は、1からパートナーセールスのチームを立ち上げたい企業が多いのか、一定基盤はあるがさらに売上拡大したい企業が多いのか、どちらが多いですか?
葛西:
どちらもありますね。これから立ち上げますという支援先もありますし、さらにスケールさせたいという支援先もあります。既に立ち上げは済んでスケールさせたいという企業の場合、自社で情報収集しながらやってきたがこれ以上伸ばすのは限界を迎えつつある、我流でやっていて情報の蓄積がされておらず仕組み化されていない、というケースが多かったりします。
カクトク 出久地氏:
なるほど、ありがとうございます。パートナーセールスの部門に関しては、葛西さんがいろんな企業様をご支援されてたり、イベントもやられてたり、パートナーセールス研究会のコミュニティも主催として運営されていらっしゃるので、そういった領域のお話を聞きたい、ご興味あるという方がいらっしゃれば、葛西さんに直接お問い合わせいただいても結構ですし、アンケートにご回答いただければ弊社からお繋ぎしますので、ぜひお声がけください。
最後に
今回はカクトク株式会社様の主催で、「販売代理店×営業外注で加速度的に成長させる方法」というテーマでお話しさせていただきました。
このような貴重な機会を設けてくださったカクトク株式会社様には、心より感謝申し上げます。
本編でも繰り返しお伝えした通り、パートナーセールスは強力な成長手段である一方で、短期で成果が出る「魔法の杖」ではありません。構造的な難しさを理解した上で、パートナー企業の理解・売りやすさ・コミュニケーション・即レス・定期接点といった基本動作を積み重ねることが、結果的に大きな差になります。
本レポートが、パートナー施策や営業外注の使い分けを整理し、次の一手を考える際の材料になれば幸いです。
