パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
パートナーセールスで安定した成果を上げ続けるためには、パートナー企業の情報だけでなく、その企業に所属する営業担当者一人ひとりの情報も正確に把握・管理することが欠かせません。
企業レベルの情報管理だけでは、担当者の異動や関係性の断絶によって商談数や受注率が大きく低下するリスクがあります。
本記事では、商談数・受注率アップにつながる「パートナー企業情報」と「担当者情報」の具体的な管理項目例と、それらを組み合わせた戦略的活用法を解説します。
パートナーセールスにおける情報管理の重要性

パートナーセールスとは、販売代理店や業務委託先などエンドユーザー向けに営業活動を行う外部パートナー企業に対し、営業活動を行うことを指します。自社単独では届かない市場や顧客層へアプローチできる一方で、パートナー企業との関係性や情報共有の精度が成果を大きく左右します。
多くの現場では、パートナー企業の名称や契約状況といった「企業単位の情報管理」は行われていますが、その企業に所属する営業担当者一人ひとりの情報まで管理できていることは実は稀であったりします。この状態では、担当者が異動・退職した際や、新しい担当者に引き継ぎが行われた際に、商談数や受注率が急落するリスクがあります。
企業情報だけでなく、パートナー側の営業担当者レベルの詳細なデータも記録・更新することで、各担当者の得意分野や関心、信頼関係の深さを活かした提案が可能になります。その結果、商談機会の増加、受注率の向上、そしてパートナーセールス全体のパフォーマンスの安定化につながります。
管理すべきパートナー企業情報の具体例

パートナー企業との関係を深め、安定的に商談や受注を生み出すためには、まず企業単位での情報を正確かつ網羅的に把握することが不可欠です。特に以下の項目は、最低限管理すべき重要データです。
- 基本情報
業種、所在地、従業員規模、設立年、売上、資本金、決算月、既存顧客数、顧客属性などの企業の基本プロフィール情報。これらは提案内容やアプローチ戦略を立てるために必要な基礎データになります。 - 提案・受注履歴・失注理由
過去の提案内容や受注案件、失注理由の履歴。どの提案が成果につながったか、どういう理由で失注するケースが多いのかを把握することで、成功パターンや改善すべきポイントが見えてきます。 - 取引条件や契約状況
契約開始日、契約期間、手数料率、販売条件など。これらは条件変更や交渉のタイミングを見極める判断材料となります。 - 成果指標(KPI)
商談数、受注件数、売上額(粗利額)、受注率などの数値データ。成果を数値で可視化することで、重点的に支援すべき企業を明確にできます。
こうした企業情報を体系的に管理すれば、パートナーごとの強み・弱みが浮き彫りになり、戦略的かつ効果的なフォローアップが可能になります。
ただし、上記はあくまで必要最低限として抑えておくべき一部の情報にしかすぎません。下記の記事も参考にしていただき(この記事に書かれている確認項目でも足りないですが)、パートナー企業の解像度を上げるために確認すべきヒアリング項目を可視化した「パートナーカルテ」を制作するようにしましょう。
※「パートナーカルテ」に入れるべき項目は、細かい項目まで入れると多岐に渡ります。そのため、「パートナーカルテ」に入れるべき項目について知りたい方は、個別お問い合わせください(本記事の下記にある問合せフォーム経由でもDMを送っていただいても構いません)。
管理すべきパートナーの営業担当者情報の具体例

パートナーセールスの成果は、企業単位の情報だけでなく、その企業の営業担当者一人ひとりの情報管理にも大きく左右されます。担当者の特性や関心、コミュニケーションの傾向を把握することで、提案の精度と信頼関係の質が大きく向上します。特に以下の項目は、最低限押さえておきたい情報です。
- 基本プロフィール
氏名、役職、部署、メールアドレスや電話番号など。日常的な連絡や迅速な対応には欠かせない基礎データです。 - 得意領域や関心分野
担当者が得意とする商材や業界、興味を持っているテーマ。関心の高い分野に合わせて提案することで、商談化率を高められます。 - 過去のコミュニケーション履歴
商談や面談での発言内容、提案に対する反応、懸念点、次回アクションなど。履歴を残すことで、担当者のニーズや思考傾向を継続的に把握できます。 - 信頼関係の度合いや対応傾向
提案に積極的か慎重派か、レスポンスが早いか遅いか、質問・問合せの頻度など。信頼度を数値やランクで可視化すれば、フォローの優先順位が明確になります。
担当者情報を継続的に管理することで、単なる取引相手ではなく、“共に成果を生み出すビジネスパートナー”としての強固な関係性を築くことが可能になります。
ただ、上記はあくまで必要最低限の営業担当ごとの情報として抑えておくべき情報です。他に抑えておくべきパートナーの営業担当ごとの情報については、別記事にて書かせていただきます。
※下記のDiSCなども抑えておくと良いかと思いますので、ご参照ください(DiSCではなく、MBTIなどの性格診断などでも構いません)
企業情報と担当者情報を組み合わせた戦略的活用法

パートナーセールスでは、企業情報と担当者情報をそれぞれ管理するだけでは不十分です。両者を組み合わせることで、より戦略的で成果につながるアプローチが可能になります。下記は企業情報と担当者情報を組み合わせた施策の一例です。
- 担当者の特性に合わせた提案
企業の業種や規模といった基本情報に、担当者の得意分野や関心テーマを掛け合わせることで、「誰に」「何を」提案すべきかが明確になります。これにより提案の精度が上がり、受注率向上が期待できます。 - 関係性の深い担当者を介した紹介依頼
担当者レベルで信頼関係を築いていれば、同じパートナー企業内の仲の良い他営業担当の紹介やキーマンの紹介、他事業部の紹介などもしてもらいやすくなります。これにより、新規商談獲得のチャンスが広がります。 - 担当者異動時のスムーズな引き継ぎ
メーカー側の異動や退職が発生しても、過去のやり取りや信頼度(スコア)を記録しておけば、新任担当者への引き継ぎが円滑に進みます。これにより、関係性の途切れによる機会損失を防げます。 - 企業戦略の変化に応じた提案最適化
企業方針や市場環境が変わった際も、担当者の意向や関心と照らし合わせることで、タイムリーかつ効果的な提案が可能になります。
企業情報と担当者情報をリンクさせた管理は、単なるデータの蓄積ではなく、売上に直結する「営業資産の強化」です。
パートナー企業&担当者情報の管理が商談数と受注率を伸ばす鍵

パートナーセールスで安定的に成果を上げるためには、企業単位だけでなく担当者単位での情報管理が不可欠です。
企業情報では業種・所在地・規模・契約条件・成果指標などを体系的に管理し、パートナーごとの事業方針や強み、課題などを把握します。
一方、担当者情報では氏名・役職などの基礎情報に加え、得意領域や過去のやり取り、信頼関係の深さなどを記録し、より精度の高い提案や関係構築に活かします。
これら二層の情報を組み合わせることで、担当者の特性に合った提案や異動時のスムーズな引き継ぎ、企業戦略の変化に応じた柔軟な提案最適化が可能になります。結果として、商談数や受注率の向上だけでなく、パートナーとの長期的な信頼関係の構築にもつながります。
パートナーセールスを単なる販売チャネルではなく、“共に成果を生み出す協働関係”に進化させるために、今日から企業情報と担当者情報の両方を管理する仕組みづくりを始めましょう。