長いので、お時間ない方はまずはセミナーレポートの要約をご覧ください。
地方銀行のアライアンス開拓方法(クラフトバンク米田様)
- テレアポの活用: 地方銀行へのアプローチはテレアポが効果的であり、特に過去にインサイドセールスの経験がある担当者が適任である。
- 長期的な視点: 一度断られても、1年間のどこかでアポイント獲得を目指し、担当者の異動したての時期(4月、10月)を狙って再度アプローチすることが有効。
- 具体的なリスト作成: 銀行の組織図やイベント情報から、ビジネスマッチングを担う部署の電話番号を特定し、直接アプローチすることで突破率を上げる。
- オフラインイベントの活用: 地方銀行も参加するオフラインイベントやコミュニティに参加し、直接担当者と接点を持つことで、テレアポでは得られない関係構築が可能。
- 他社経由でのアプローチ: 銀行の子会社や関連企業を経由してアプローチすることで、直接では難しかったアポイント獲得に繋がるケースもある。
契約後に成果を出すための動かし方(あしたのチーム北川様)
- キーマンの異動後の対応: 異動したキーマンとは異動先でも関係を継続し、後任者を紹介してもらうなど、早期の情報キャッチと関係性の維持が重要。銀行員の同期や前支店での繋がりを活かすことも有効。
- アライアンスはマーケティング: 銀行とのアライアンスはマーケティング活動の一環と捉え、まず相手の銀行を深く知ることから始める。
- 銀行の規模と特徴の把握: 銀行の預金量、地域におけるシェア、収益モデル(特に役務収益)を把握し、自社サービスがフィットする銀行を見極める。
- 組織構造と移動の理解: 銀行員の頻繁な異動(3月、4月、9月が繁忙期)や、支店と本部の役割、役職ごとの評価軸を理解することが重要。
- ターゲット絞り込みの重要性: 限られたリソースの中で成果を出すため、ターゲットとする銀行、支店、そしてキーマンを明確に絞り込む。特に、ビジネスマッチングに積極的で、個人の実績を上げたいと考えている支店長代理や課長クラスが狙い目。
- 成功事例の共有: 銀行内で成果が出ている商材や、紹介しやすいサービスを明確にし、銀行員が紹介しやすいように勉強会やツールの提供を行う。
- マージンの設定: マージンの高低よりも、いかに紹介しやすく、安価で質の高いサービスであるかが重要。

※本編はここからです。
パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
今週は、先週5/21(水)に開催させていただいたパートナーセールスセミナー「対地銀アライアンス戦略~パートナー開拓から成果創出まで~」のセミナーレポートを書かせていただきます。
※長文となるため、要点だけ知りたい方は上述の要約をご参照ください。
対地銀アライアンス戦略~パートナー開拓から成果創出まで~
パネリスト・企業紹介
クラフトバンク株式会社 地域戦略統括室 ビジネスアライアンス部
米田 知美 氏

セミナー資料から抜粋
サービス概要

セミナー資料から抜粋
株式会社あしたのチーム HRソリューション部 部長
北川 誠 氏

セミナー資料から抜粋
サービス概要

セミナー資料から抜粋
2社のパートナー制度について
クラフトバンク様のパートナー制度

セミナー資料から抜粋
- 紹介取次代理店モデルがメイン。
- 建設業界特有の業務課題や人手不足といったマーケットの特徴を捉え、それに合わせた企業とパートナー契約を締結。
- 中堅・大手建設会社を対象としたEnterprise領域では、業務効率化やDXに課題を感じている企業への個別アプローチが中心。パートナー企業からの紹介を通じて、クラフトバンクが直接提案・商談を行う。
- 中小規模の建設会社を対象としたSMB領域では、既存ネットワークを活かした幅広い紹介スキームを構築。例えば、業界に知見のあるコンサルティング会社や地域密着の建設資材販売業者との連携により、ターゲット企業に対して最適なパッケージ提案を実施。
- 個別顧客の開拓については、営業代行会社など営業代理店によるアウトバウンド活動が中心。
→ クラフトバンクを入り口にし、クラフトバンクOfficeのクロスセルを実施。 - なお、バーティカルSaaSとして業界特化型の提供を行っているため、一般的なホリゾンタルSaaSが連携しているOA機器販社、ITディストリビューターとはパートナー契約を締結していない。建設業界に深いネットワークや知見を持つ企業との連携を重視している。
あしたのチーム様のパートナー制度

セミナー資料から抜粋
- パートナーのリソースや提供価値に応じた4つのモデルで構成されている。
- 最も導入しやすいのが「紹介取次(リファラル)モデル」。
顧客紹介のみを担う一般的な紹介モデルで、紹介後の営業・商談・導入支援まではすべてあしたのチームが対応。 - 営業活動リソースを持つ企業に対しては「販売代理店モデル」を用意。
営業活動から受注までを代理店が担い、その後の納品・導入対応はあしたのチームが行う分業型の仕組み。 - より高い専門性と自走支援を担える企業とは「認定パートナー」として連携。
認定コンサルタント試験をクリアした担当者が在籍し、営業活動から導入・コンサルティング支援までを包括的に担う。 - さらに、OEM展開や自社商品とのセット提供を希望する企業とは「アライアンスパートナー」として契約。あしたのチーム監修のもと、独自ブランドでのオリジナルサービス提供を行う。
1. 地方銀行のアライアンス開拓方法

葛西:
今回、前半は米田さんから主に対地方銀行のアライアンスの開拓方法をメインでお話しさせていただいて、後半は北川さんから契約後にどうアクティベーションしていくかというところをお話いただきます。ではまず米田さん、お願いします。
クラフトバンク 米田氏:
私からは、地方銀行さんとのアポイント獲得をどうやっているのかという所からお話しさせていただきます。結論から言いますと、ほぼほぼテレアポで取ってます。

セミナー資料から抜粋
クラフトバンク 米田氏:
「電話で取れるんですか?」と聞かれることはあるんですけど、取れます。クラフトバンクは今、いくつもの地方銀行様とご契約させていただいてます。
テレアポ以外は、地方銀行の方々が開催されているイベントに参加させてもらって接点を作ったり、ご紹介だったり、その他っていう感じです。

セミナー資料から抜粋
クラフトバンク 米田氏:
地方銀行はそもそも全国に92行しかありませんので、一気に電話をかけて終わりというような刈り取り型のテレアポはできないんですよね。もちろんアポイントがすぐに取れるケースもありますが、全員がそうというわけではありません。
そのため、私の中では、仮にその場で断られたとしても「ああ、ダメだった、NGだった」と捉えるのではなく、「この銀行さんとは1年のどこかでアポを取れたらいいな」というスタンスで向き合っています。銀行ごとの状況もありますし、断られた理由にもよるんですよね。
たとえば、時期が悪かったのか、人員不足だったのか…。断りの理由は様々ですが、「じゃあ、いつだったら動いてもらえそうか?」という目安を、こちら側の電話の中である程度つけておくことがすごく重要だと思っています。
それから、どんなに丁寧に話しても、一定数、何を言っても断ってこられる方もいます。それってもう他社さんの話じゃなくて、「うちはやらない」と決めてる感じなんですよね。そういう場合、正直私は「担当者が変わるのを待つ」という現実的な方法を取っています。
金融機関は人事異動がけっこう活発で、4月1日・10月1日から担当者が変わるケースが多いので、そこを狙って再度架電します。銀行では担当変更時に情報の引き継ぎがされていないことも多いのす。ですので「以前、〇〇さんとお話させていただいてまして…」と伝えるだけで、案外ちゃんと話を聞いてくれることも多かったりします。実際、このやり方でアポはけっこう取れます。

セミナー資料から抜粋
クラフトバンク 米田氏:
ここからは具体的なアクションなんですが、まず1つ目はリストの作成です。92行しかないので、すべての銀行にいつかはアプローチする前提で、1社1社しっかりと調べます。
連絡先は「本部」や「本店」の代表番号が基本ですが、もし可能であれば、「法人営業部」「地域創生部」「お客様サービス部」「コンサルティング営業部」など、ビジネスマッチングを担っていそうな部署に直接つながる番号を調べます。
具体的には、「銀行名 + 部署名」でGoogle検索して、5〜6ページ目くらいまで調べると、たまに過去のイベントのPDFがヒットするんです。中身自体は古いけれど、その資料の右下などに代表番号が載っていたりして、これが意外と使えるんですよね。リスト作成には本当に時間をかけました。
葛西:
電話番号、割と出ますよね。「社名」と東京だったら「03-」とかで、“”(ダブルクォーテーション)で括って検索すると、2~3ページ目くらいとかに代表番号以外の電話番号が意外と出てきたりします。そうやって代表番号以外の番号をすると結構受付も突破しやすいですよね。
クラフトバンク 米田氏:
3番で書いてるようなところに直接繋がる番号が見つかると突破しやすいです。なぜかというと、普段代表番号で出る受付の方と異なるため、営業電話慣れしてないからです。その番号にかけてくる人がそんなにいないので、「すぐ回します」とサラッとつないでくれることが多いです。
2つ目は、トークスクリプトの徹底作成です。これは企業ごとに取り扱っているサービス内容にもよりますが、しっかりと時間をかけて作ります。
3つ目が、適切な部署に電話をつなぐ工夫です。たとえ「法人営業部」などに直接かけたとしても、最初は「ビジネスマッチングの件でお電話しているのですが、ご担当部署はどちらになりますか?」と聞くようにしています。そのほうが間違いなくスムーズにつながりますし、意外とちゃんと繋いでくれることが多いです。「アライアンス提携の件で」「ビジネスマッチングの件で」といった形で要件を伝えると、適切な部署に回してもらえる可能性が高いです。
4つ目は、商談の獲得です。まずはアポイントの取得を目指します。仮に「資料を送ってください」と言われた場合でも、私は「1年以内にアポを取る前提」で動いています。
そのために、相手が断った理由によって、「では、いつごろがご都合よさそうですか?」といった話をして、次の連絡のタイミングをこちらで決め、相手と軽く合意しておく。そうすることで、たとえその時点でアポが取れなくても、次につながる形で電話を終えることができます。
「断られた=完全にNG」ではなく、ナーチャリングを前提にして、1年以内に回収するという意識で行動しています。

セミナー資料から抜粋
クラフトバンク 米田氏:
先ほど電話での営業活動が全体の約8.5割を占めるという話をしましたが、残りの1.5割についてご紹介します。
昨年、「BANK SUMMIT 2024」というイベントに参加させていただきました。これは、ベンチャー企業と地方銀行をつなぐ目的のイベントで、テレアポで何度も電話していた銀行さんとここで名刺交換できると、「実はずっと電話してたんです」みたいな話をきっかけに繋がっていくこともあります。「じゃあ僕から繋ぎますよ」と言ってくださることもあるので、営業というより“繋がりに行く”って感じですね。
次に関西圏になりますが、「QUINTBRIDGE」という施設にも注目しています。ここはNTT西日本さんが運営している場で、ベンチャー企業が多く登録しているコワーキングスペースです。地方銀行さんや商社さんとの繋ぎをお願いしたところ、実際に担当者の方が間に入ってアポを取ってくれました。こういったコミュニティを活用するのは非常に有効だと思います。
そして最後に、某銀行さんとのエピソードです。ずっと提携したかったんですが、最初は「上場企業でないとアポは取れません」と断られてしまいました。1年かけて何度もトライしましたが、担当者が変わっても状況は変わらず、社内ルールとして難しいとのことでした。
そんな中、クラフトバンクでは「CraftBank office」以外にも、職人酒場や地域系イベントなど、様々なプロジェクトを社内で立ち上げていました。ある時、インターネットで調べていたら、とある地域支援を行っている会社の存在を知りました。イベントも主催しているようだったので、その会社さんに「ぜひご一緒できないか」と電話してみました。
いろいろと目的を話していたところ、「それなら銀行本体と繋がった方が早くないですか?」と言っていただけて、その地域支援会社のご担当者さんからずっと提携したかった某銀行さんをお繋ぎいただけました。
その地域支援会社さんがなんと狙っていた某銀行の100%子会社だったということもあり、そこからの紹介でその銀行さんの担当者の方から私に直接お電話をいただけて、アポイントが獲得できました。その後、弊社のサービスやカルチャーにも共感いただき、ご契約に至っております。
葛西:
銀行って「人からの紹介」というのがかなりスムーズに進むことが多いです。トップダウンの文化が強いので、上の方が「やる」と言えば、現場もそれに従う傾向があります。だからこそ、上の層へのアプローチはかなり有効です。
スタートアップの皆さんにもおすすめなのは、ICCなどの大型イベントや、その周辺で開催されるサイドイベントに参加することです。そうした場に積極的に参加すると、地方銀行の上位役職者との接点づくりにもつながる可能性があります。
クラフトバンク 米田氏:
イベントでは銀行の上層部の方々は結構フォーマルで社交辞令的な挨拶をされます。そんな中で、あえて素の自分で接して、何百人も参加してる中で「一番印象に残る」ような工夫をしています。印象に残れば、それが次の繋がりになりますからね。
葛西:
ありがとうございます。それでは次に、ここからは北川さんのパートに移ります。テーマは「契約後にどう成果を出していくか」です。
2. 成果を出すための動かし方

あしたのチーム 北川氏:
ここからは「契約が締結できました、じゃあどうやって動かそうか」というところをお話しします。

セミナー資料から抜粋
まずアライアンス全般そうだと思うんですけど、アライアンスの基本はマーケティングだと思ってます。銀行というのはすごく独特な会社なので、まず相手のことを知ることから始めるという所からです。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
まずどういう銀行か知ることが重要です。
銀行でも地域性や特徴があるので、まずはその銀行がどれぐらいのお金を回してるのか=預金量を知ること。あとはそのエリアにおけるシェアの比率を知る。これだけで色んな特徴が分かります。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
ここからは「銀行ってどんなビジネスモデルなんだろう?」っていう話なんですが、銀行の収益源は大きく分けて3つあります。1つ目が資金収益。これはいわゆる「融資の利息」で稼ぐ部分ですね。最近は金利も上がってるんで、ほとんどの銀行でこの収益は増えてると思います。
2つ目が、私たちスタートアップと一番関わりが深い役務収益。例えば、大型のローンを組む時の手数料とか、M&Aや事業承継のサポートにかかる手数料、あとはビジネスマッチングの手数料なんかがここに入ります。
3つ目が 外為収益。ちょっとマイナーなんですが、外貨両替などで発生する手数料で、資金収益に近いイメージです。
今日はこの中でも「ビジネスマッチング」に関する収益の部分を中心にお話できればと思っています。それと、地方銀行は基本的に上場企業なので、IR資料や組織図なんかもホームページに公開されてます。なので、どの部署がビジネスマッチングをやってるのかも、だいたい組織図を見ればわかるようになっています。イベントの案内等にも、「問い合わせ:法人営業部」のような記載があるので、そういう情報も使えると思います。
また、銀行員は癒着を避ける目的で頻繁に異動があります。おおよそ長くても2年半〜3年くらい。同じ銀行員が長く同じ支店にいるということはあまりありません。特に多いのが3月・4月・9月。銀行が3月決算であるため、期末・半期末の時期に支店長が異動して、そのあとに次長や課長クラスが順番に異動していくケースが多いです。なので、1年中どこかの支店で誰かが異動しているというようなイメージです。
葛西:
ちなみに、銀行員の異動は基本的には毎月あります。支店長クラスだと基本3月か9月が多いですが、メンバークラスだと毎月のように各支店で異動があります。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
今までは銀行の規模とかシェア、収益モデル、繁忙期などのお話をしてきましたが、ここからは「どんな種類の支店があるのか?」というお話をします。大きく分けると、4つのタイプの支店があります。
まず1つ目が、本店や主要都市の大規模支店。これは「フルバンキング支店」とも呼ばれており、銀行の中では何でもできる、いわば“花形”の支店です。個人も法人も、いろんな業務を扱っています。
2つ目が 中規模支店。これは本店から少し離れた、主要都市の支店です。中規模支店も個人・法人どちらも扱っていますが、特徴的なのは「支店長が全ての決裁権を持っている」ということ。支店長の判断で物事が動くというのがポイントです。
3つ目は小規模支店。これはもっと地方の、小さな町にある支店で、基本的には法人取引は少なくて、個人のお客様がメインになります。
そして最後、4つ目が県外支店。これはその銀行の本拠地から出て、隣接する県などに展開している支店のことですね。地方銀行でも、商圏を広げるためにこういう県外支店を持っているケースは結構あります。
この中でもそれぞれにどういう役職の人がいて、どんなキャリアを歩んできた人たちなのかっていうところを見ていきたいと思います。特にポイントになるのが、年齢・役職・キャリアの部分です。
銀行って、基本的に年功序列+成果主義みたいな感じで、年齢や実績に応じて役職が上がっていきます。「支店長」になるにもタイミングがすごく重要で、だいたい○歳までに支店長になれなかったら、もうそこまでしか役職上がらないみたいなラインもあったりします。この辺りを知っておくと、提案の出し方や接し方も変わってくると思います。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
最後にこれまでの話をまとめると、「どういう銀行があって、どこをターゲットにするべきか?」というところですね。
今回はビジネスマッチングの話なので、そもそもビジネスマッチングのニーズがある銀行かどうかを見極めるのがすごく大事です。例えば預金量が10兆円クラスの大手地銀や、地域シェアが50%以上の銀行は、そこまでビジネスマッチングに積極的じゃなかったりもします。
じゃあどこを狙うべきかっていうと、シェアが20%未満の銀行とか、第二地銀クラスです。第一地銀には勝てないので、ビジネスマッチングなどの役務収益で存在感を出したいというニーズがある。そういう銀行は、地元企業に価値を提供して、そこから融資につなげたいという思いが強いので、まさに狙い目なんです。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
次に「現場からわかる情報」ですが、「支店長クラスの人たちが何で評価されているか」が重要です。支店長は基本的には支店全体の業績で評価されます。たとえば「融資の実績」とか「ビジネスマッチングの成果」とか、そういった支店全体としての数字が評価対象になるんですね。その下の次長クラスになると、自分が担当する分野、たとえば「個人向け融資」とか「法人営業」といった担当領域の業績が主な評価軸になります。
さらにその下の課長や支店長代理クラスになってくると、個人の出世意欲が強い人が多いです。だからこそ、自分の数字を上げようと積極的に動く人が多いんですね。なので、ビジネスマッチングをお願いするなら、このクラスの人たちが狙い目。やる気もあるし、成果に貪欲なので、こちらの提案にも前向きに乗ってくれる可能性が高いです。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
最終的にビジネスマッチングを伸ばしていくには?というお話なんですが、ターゲットの絞り込み、つまりどの銀行の、どの支店の、どの人にアプローチするのかをちゃんと決めることが重要になってきます。
もう一つ重要なのが、自社の商材が、どの銀行にハマるのかを見極めること。これがズレてると、いくら頑張っても刺さらないので、ここはしっかり分析しておきましょう。
さらに、キーマンの選定。よく「ビジネス感度が高い人に行こう」となりがちですが、実はそれよりも出世しそうな人を選ぶほうが効果的だったりします。なぜかというと、出世した人は次のポジションで新しい人脈やチャンスをつないでくれたりします。同期を紹介してくれたり、また別の支店で協業が始まったりとか。逆に、感度が高くても個人プレイヤーで完結しちゃう人もいるので、そこは見極めが必要です。
だからこそ「この人は出世しそうだな」「先を見据えて動いてそうだな」という方に絞っていくのが、ビジネスマッチングを広げる上でのポイントかなと思います。

セミナー資料から抜粋
あしたのチーム 北川氏:
ここでちょっとモデルケースを紹介します。今までお話した情報をもとに、「こういう銀行にはこうアプローチすると成功しやすい」という実例になります。
まずは名古屋銀行さん。預金量は約4兆円。愛知県内ではシェア20%を持つ第二地銀で、エリア内でもかなり存在感のある銀行です。
ただ、名古屋はメガバンクがかなり強い地域で、最近は愛知銀行と中京銀行が合併してシェアが一気に拡大。名古屋銀行としても「資金収益では勝てない」という状況になってきました。そこで、「役務収益(ビジネスマッチング)を強化するしかない!」という動きが出てきていて、当社の意向と合致した結果、非常にうまくいった事例となりました。
次に、滋賀銀行さん。こちらも預金量4兆円クラスですが、県内で圧倒的なシェアを持っています。ただし、問題は隣の京都銀行さんが滋賀エリアに攻めてきているということ。そのような状況下では、逆に「京都から滋賀に攻めよう」という戦略を取り、まずは京都の支店にアプローチし、徐々に滋賀銀行内で実績を積んでいく。結果、最初は全然動かなかった本店営業部も動いてくれるようになる。このように、エリア内でのトップシェアの銀行さんの場合は、外堀から攻めるのが効果的だったりします。
他にも例を挙げると、千葉銀行は預金量10兆円を超える超大手。こういった銀行は正直、ビジネスマッチングの必要性をあまり感じていないので、狙いづらいです。でも、例えば埼玉りそな銀行とか、その地域で上位ではあるけどメガバンクほどではない銀行は、ビジネスマッチングの余地がありますし、さらにそこに武蔵野銀行のような地銀もいるわけで、そういう地域に対しては、群馬や東京西部などの隣接エリアからアプローチすると成果が出やすいですね。
葛西:
名古屋銀行みたいに、地銀・信金が入り混じってる地域って、実は熱いですよね。
あしたのチーム 北川氏:
そうですね。大阪も地銀や信金の勢力が入り乱れてて、近畿エリアが特に熱いです。九州・福岡もメガバンクが多い一方で、地域金融機関が「資金収益だけじゃ厳しい」って状況にあるので、役務収益(ビジネスマッチング)に注力している銀行が多いです。そういう意味では、この名古屋銀行のケースは、地方銀行攻略の王道モデルの1つかなと思います。
質疑応答
葛西:お二人ともありがとうございます。ここでQ&Aの方に移りたいと思います。
Q1. 米田さんの「一番印象に残る」ための作戦は、具体的にどんなことをやるんですか?

クラフトバンク 米田氏:
たとえば懇親会などで自分が狙ってる相手のところに真っ先に行って、「1番に来ました!」って笑顔で声かけたりしています。「ご挨拶させてください」とか、「今日の話、すごくよかったです!」って、相手に喜んでもらえることを素直に伝える。そうすると、印象に残りますよね。あからさまなくらいの方が、かえって効果的だったりします。
葛西:
私も前職の社名ブランドが無くなってしまったので、最近は会社の名刺よりもコミュニティの名刺を配るようにしています。そうすることで、まさに「印象に残る」ため、意図してやってます。
Q2. 銀行側からすると扱えるサービスが多すぎて何を案内したらいいかわからないという状況になっていますか? それとも、銀行側からもビジネスマッチングニーズは高いのでしょうか?
あしたのチーム 北川氏:
よくある話です。銀行って、扱ってる商材が500商材〜1000商材くらいあります。でも、全部を把握してるわけじゃないし、何が“売れる”のかも分からない。だから、まずは“小さな成功事例”を一緒に作るのが大事です。
例えば弊社のケースでいうと、人事評価サービスを全く導入してない会社って意外と導入しやすかったりします。地方の支店とか、営業が厳しいところって、ビジネスマッチングに力入れてるので、そこを狙って提案して、一緒に訪問して回るんです。
それと、銀行員が見てる決算書のどの部分に着目すれば「弊社のサービスが合ってる」と判断できるか、マニュアル的にまとめておくと、紹介しやすくなりますよ。
Q3. 銀行の「本部」との付き合い方って、どうされてますか?

あしたのチーム 北川氏:
これは銀行によりますね。本部の力が強い銀行と、現場主導の銀行があるんです。
本部が強いところだと、毎月電話して「今こんなことやってます」とこまめに報告したりして、密に連携を取っています。逆に現場が強い銀行は、支店に足繁く通いながら3ヶ月ごとに本部へ活動報告書を提出するというような運用をしてます。
葛西:
たしかに本部が強くない銀行だと、支店長さんに直接アプローチしに行く感じですよね。
Q4. 提携時のマージンってどれくらいが相場なんでしょう?
あしたのチーム 北川氏:
弊社は一律10%にしてます。前に「料率上げたら動くか?」という実験をしてみたことがあるのですが、結果は大きく変わらなかったです。だから、マージンの多さよりも「紹介しやすさ」と「料金の手頃さ」が大事かなと感じてます。
クラフトバンク 米田氏:
うちは初期費用の10〜20%ぐらいですね。あまり高すぎるってことはないです。
Q5. 金融機関のどこが自社に合うか、どうやって見極めたらいいですか?

クラフトバンク 米田氏:
基本的に、弊社は「全ての金融機関と組みたい」って思ってます。もちろん優先順位はありますけど、信用関係が築ければどことでも可能性はあるかなと考えています。
あしたのチーム 北川氏:
融機関から紹介される企業はたいてい中小企業です。300人未満がほとんどです。だから、「エンドユーザーが中小企業かどうか」が大きなポイントです。
それと、銀行は社長に直で繋いでくれるのが強みなので、中小企業の社長商談ができるサービスだとハマりやすいです。逆に、既にその銀行で似たようなサービス扱ってると、「もう別の会社と提携してるんで…」となる可能性はあります。
Q6. その支店のキーマンが異動してしまった場合、どう対応してますか?
あしたのチーム 北川氏:
なるべく早く新しい支店に会いに行きます。そして、後任の方を紹介してもらうのが基本の流れです。
あとは、定期的に連絡取っておくと、異動の情報をいち早くキャッチできたり、仲良くなれば向こうから「異動しました」と連絡をいただけたりもしますよ。特に3月・4月・9月は異動が多くて、対応に追われがちですね。でも、異動先でもまた新しい縁になることが多いです。
葛西:
銀行員は前の支店の同僚や先輩、同期とすごく仲がいい人が多いです。なので、そのあたりの人脈から異動情報が入ってきたりもします。私も昔の銀行員時代の支店所属の際にお世話になった先輩方と今でも飲みに行ったりしてますし、そういう関係があると新しい支店にも自然と繋がっていけたりしますね。
最後に

今回は登壇者を含めて60名弱もの方にご参加いただけました!
今回は初めて参加された方が半分、2回以上参加したことがある方が半分と、おおよそ半々くらいの割合でしたが、初めての方も積極的に多数の方と交流をされていました。

今年はこのようなオフラインセミナーも活発に開催していきますが、今後は共催のセミナーや多種多様なイベントも増やしていきたいと考えてますので、パートナーセールス研究会の皆様は是非楽しみにしていてください!
今回パートナーセールスのイベントにご参加いただいた皆様はありがとうございました🙇♂️