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【2025年】アライアンス・パートナーセールスの未来予想図

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皆さん、こんばんは。

パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。

先週はパートナーセールス研究会1周年記念イベントの告知でしたので、今週の記事が実質的には今年最初のパートナーセールスnoteとなります。

今週は、年内最初の記事らしく、2025年のアライアンス・パートナーセールスの未来予想図について書かせていただこうと思います。

2024年のアライアンス・パートナー界隈で起こり始めていること

昨年開催したパートナーセールス研究会主催のパートナーセールスアドベントカレンダー2024で、あしたのチーム 北川さんが書かれたnoteにもあるように、下記のようなことが起こり始めています。

1.大手事務系のリセラ

  • SaaSの取り扱い商材が増えすぎてお腹いっぱいの状態で、新規での契約に消極的になり始めている。
  • 既に長年SaaS商材を取り扱っているため、カテゴリーごとの注力商品が固まっており、新規で入り込んでも営業担当に動いていただけない。


2.金融機関

  • ビジネスマッチング提携数が増えすぎて、新規での提携に消極的になり始めている。
  • SaaS商材(IT商材)への苦手意識が強く、商材インストールの難易度が高め。
  • さらには直近は、内閣官房・内閣府の事業「地域デジタル化支援促進事業」が走っており、74もの地域金融機関が採択されています。この事業では、ビジネスマッチングでSaaS商材を紹介するだけではなく、デジタル化に関する役務提供(コンサルティング)まで行わないと補助金対象外となってしまうため、各行が注力するSaaS商材を絞り出しているという背景があります。

3.士業

  • 専門外の商材の紹介はなかなかしていただけない。
  • 例えば、社労士は人事労務システムや勤怠管理システム、税理士・会計士は財務・会計システムなど。
  • 自分たちの得意領域のSaaS商材は既にいくつも取り扱っており、 新規での取り扱いには消極的(よほどわかりやすく、大きな機能差分がある商材ではないと難しい)

つまり、これまで、どのSaaSメーカーにとっても主力(トップパートナー)となっていたパートナー企業群の販売網が活用できなくなってきてしまっているのです。。

※逆に、この企業はまだまだ新規商材を積極的に取り扱ってくれるよーというパートナー企業様があれば、是非こっそり教えてください…!

2025年の未来予想図

さて、ここから2025年のパートナーセールス・アライアンスの未来予測をさせていただきます。

あしたのチーム 北川さんのnoteには、新規パートナー開拓の戦国時代に突入し、パートナーセールスの未来として

  • ①ディストリビューターと取引し商流を広げる
  • ②マッチングプラットフォームの活用
  • ③すでに商流を持ってる会社へOEMや卸で提供し商流を借りる

という3つの予測をしておりましたが、この予測には私自身も賛成です。

一方で、①ディストリビューターの活用、②マッチングプラットフォームの活用においては、合う商材・合わない商材が両極端に分かれるのかなとも考えています。

ディストリビューターの活用

ホリゾンタルSaaSで分かりやすい商材(提案難易度の低い商材)、法律改正等のマーケットの後押しのある商材であればディストリビューターの商流は機能します。

一方で、バーティカルSaaSや分かりにくい商材、専門的で提案難易度の高い商材は不向きです。

ですので、ディストリビューターの商流が機能するSaaS商材が限られるという点は弱点です。

マッチングプラットフォームの活用

パートナーセールスというより、少し直販側のBtoBマーケティング施策のお話にも寄ってしまいますが、Saleshubのようなマッチングプラットフォームを活用するSaaS企業も増えています。

これらのマッチングプラットフォームにおいても、向き・不向きが両極端に分かれるなと考えています。

一定の認知度のある商材や提案難易度の低い商材、ホリゾンタル領域(ターゲットが多い)の商材、法律改正等のマーケットの後押しのある商材であれば、マッチングプラットフォーム経由での商談獲得数も一定見込めます。

一方で、認知度の低い商材や提案難易度の高い商材、バーティカル領域(ターゲットが少ない)の商材などはあまり多くの商談獲得数が見込めないケースも多いです。

特に、バーティカルSaaSのような提案する業界が限られる場合は、マッチングプラットフォームを通じて企業を紹介してくれる該当業界とパイプがある人材のDB登録数自体ががそもそも少ないということも多いため、注意が必要です。

また、マッチングプラットフォームの活用が向いている商材であっても、結構荒めの質の商談も多かったりするため、それも踏まえて検討された方が良いでしょう。

さて、長くなりましたが、ここから私なりの2025年のパートナーセールス・アライアンスの未来予測をさせていただきます。

2025年のパートナーセールス・アライアンスの動きとして、以下3つの動きが起こるのではないかと私は考えています。

1. SaaSベンダー(メーカー)同士の提携が増加

ディストリビューターの商流活用やマッチングプラットフォームの活用に向いている企業が限られることも鑑みると、この1年でメーカー間での提携・アライアンスが加速化するのではないかと考えています。

例えば、下記のような連携です。

  • すでに商流を持ってる企業へOEMや卸で提供し、その商流を借りる(北川さんのnoteにも記載)
  • メーカー同士でのセットプラン販売の提供
  • メーカー同士での共催セミナーの増加→マーケティングパートナー(セミナーパートナー)の増加
  • 提携するメーカー側への出向(双方にそれぞれ出向もあれば、一方のメーカーから提携先のメーカーへの出稿のみというケースもあり)

一方で、メーカー間でのアライアンスは、通常のパートナーセールス以上に正攻法が国内でまだ見つけられていません。

だからこそ、この勝ち筋を見出したメーカーは一歩抜けるのではないかと考えています。

また、私が発起人として運営させていただいているパートナーセールス研究会には既に300名以上のパートナーセールスの方に参加いただいてますので、このコミュニティを通じて上述のようなメーカー間での提携・アライアンスを促進していきたいと考えています!

2. パートナーセールスを開始するフェーズの早期化

これは2024年の終盤くらいから、肌感ではありますが顕著に出てきている気がしてますが、パートナーセールスを開始するSaaSスタートアップが非常に増えております。
※シード、プレAくらいから開始するSaaSスタートアップが一昨年よりも増えています。

この流れは2025年も続くのではないかと考えており、パートナーセールスを開始するフェーズの早期化はさらに進んでいくのではないかと考えています。

一方で、パートナーセールスに早いフェーズから取り組むSaaSスタートアップが増えるにあたって、パートナーセールスに「すぐの結果を求めてしまう」傾向が強くなっています。

スタートアップ側の懐事情として、早急に事業を大きく伸ばさなくてはならないという事情があることはわかりますが、パートナーセールスは開始から翌月または翌々月などの短期スパンで結果が出るものではありません

短期でのリード獲得(顧客紹介)を優先したいのであれば、別の施策にコスト・時間・リソースを投下すべきです。

また、まだプロダクトがPMFしておらず、直販側で営業の型化もできていない段階では、パートナーセールスは開始すべきではありません

未完成で営業の型化もできておらず自社でもまだなかなか売れない状態のプロダクトを、第三者であるパートナーが販売できることはほぼないためです(詳細は下記参照ください)。

それでもシードやプレA、シリーズAくらいのフェーズからパートナーセールスを立ち上げる場合は、目的を早期の結果に置かず、将来への投資(将来、非連続的な成長を遂げるための土台づくり・準備)というところに目的を置いて開始すべきです。

パートナーセールスは、「パートナーに展開したらすぐに結果に繋がる」「翌月にはすぐにリードが獲得できる(すぐに紹介が来る)」といった魔法の杖ではありません。

これはこれからの日本を背負って立つスタートアップに大きく成長してほしいからこそ、口を酸っぱくして言い続けていこうと考えています。

3. パートナーセールス特化のAIエージェントの誕生

ご存知の方が多いかと思いますが、この2025年は「AIエージェント元年」と言われています。
※「AIエージェント」について、「AIエージェント元年」と呼ばれている背景については長くなってしまうため、ここでは割愛します(ChatGPTにでも聞いてみてください)。

この1年で、「●●特化のAIエージェント」というようなサービス・機能が山のようにリリースされるでしょう。

その中の1つとして、「パートナーセールス特化のAIエージェント」も誕生するのではないかと私は考えています。

「パートナーセールス特化のAIエージェント」が出てきそうな予感がしている一方で、そのAIエージェントを「パートナーセールスのどこで使うのか?」というのが非常に大きなポイントなのかなと捉えてい

加えて、パートナーセールス特化のAIエージェントがいつ出てくるのかというのはまだわかりませんので、まずはご自身のパートナーセールス業務において生成AIで効率化できるところは生成AIに任せ、積極的にまずは生成AIを活用していくことをお勧めします。

例えば、昨年の6月の段階で、私が既にChatGPTを活用して効率化していたパートナーセールス業務は下記です(これもあくまで一例です。ちなみに、直販でも使えるものもあります)。

まずは積極的に使ってみることを強くお勧めします…!

まとめ

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私の予想としては、

  1. SaaSベンダー(メーカー)同士の提携が増加
  2. パートナーセールスを開始するフェーズの早期化
  3. パートナーセールス特化のAIエージェントの誕生

の3つの潮流を2025年のパートナーセールス・アライアンスの未来予想図として、予測させていただきました。

あくまで予測ですので、もちろんこの未来図が外れる可能性もあります。

この1年で、パートナーセールス・アライアンスがどこまで進化するのか、非常に私自身も楽しみですし、その進化の最先端をパートナーセールス研究会で追い続けていきたいと考えています…!

また、この記事で書いたことをもとに、1年後に今頃に答え合わせの記事を書こうかなとも考えていますので、是非皆様この予測が当たるのかどうかも含め、楽しみにしていてください!

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大手SaaSでパートナーセールスに従事し、パートナーセールスをハンズオンでゼロから立ち上げました。

その過程で、200社以上が参加するパートナーセールス研究会を立ち上げ、多くの企業と成功事例を共有してきました。

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