パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
今日は、すべてのパートナーセールス担当者の皆さんに、避けては通れない「コミュニケーションの転換点」についてお話しします。
先日、Meta社より衝撃的なニュースが発表されました。2026年4月15日をもって、Messengerのブラウザ専用サイト(Messenger.com)とデスクトップアプリが終了し、Facebook本体へと一本化されるというものです。

今後、PCでMessengerを利用するにはFacebookのメインサイトへ移動する必要がありますが、ここで注意すべきは「Facebookアカウントを持っていないユーザーは、PC版の利用手段が物理的に遮断される」という点です。
私はパートナーセールス研究会の活動を通じて、これまで250社を超えるパートナービジネスを展開される企業様と意見交換を重ねてきました。加えて、前職のビズリーチでは、ビズリーチがダイレクトリクルーティングという新たな手法を創り出し、どのように人材業界をゲームチェンジしてきたのかを経験してします。
これらの経験から断言できます。このニュースを単なる仕様変更と捉えるのは危険です。むしろ、パートナーさんとの関係性をよりプロフェッショナルなものへ引き上げる「強制的なアップデート機会」であり、メッセンジャーを卒業する絶好のタイミングであると私は捉えています。
なぜ今、メッセンジャーでのパートナーさんとのコミュニケーションをやめるべきなのか。その理由を3つに整理して解説します。
なぜ今、パートナーとのメッセンジャー連携をやめるべきなのか?

パートナーセールスにおいて、「質問・問合せに対する即レス」は信頼残高を貯めるために不可欠です。「返信が遅いパートナーセールスは嫌われる」——これは私が250社を超える企業のパートナービジネスを展開される企業とのパートナービジネスの課題に向き合い、確信している真理です。
しかし、メッセンジャーに依存し続けることには、以下の3つの致命的なリスクが潜んでいます。
i) セキュリティとガバナンスの限界(物理的な遮断リスク)
メッセンジャーはあくまで個人のFacebookアカウントに紐付いています。そのため、企業の管理下にないツールでのパートナーさんとのやり取りは、上場企業やIPO準備をしている企業を中心に禁じられる動きが加速しています。
※これはパートナー領域だからというわけではなく、直販側においても個人のメッセンジャーやLINEでの顧客との連絡を禁止する企業が増えています。
さらに今回の仕様変更により、Facebookアカウントを私用で持っていないパートナー担当者は、PCでの連絡手段を失うことになります。B2Bの現場で「PCから連絡できない」状態を強いるのは、パートナーセールスにおいて大きなマイナスです。
ii) ビジネス用途の欠如による「埋没」と「生産性の低下」
メッセンジャーはプライベートな連絡と混ざり合う構造であるため、とにかくメッセージが埋もれやすいです。友人からの通知に重要なビジネスメッセージが埋もれ、レスポンスが遅れる。これはパートナーシップにおいては致命的です。ノイズが多いツールを使い続けることは、自ら生産性を下げ、パートナーさんへのレスポンス品質を妥協しているのと同じです。
iii) 「営業活動の資産化・データ化」が遮断されるリスク
これが最も重要な視点です。個人間のクローズドなチャットは情報の「ブラックボックス化」を招きます。 メッセンジャーでは「過去の資料がどこにあるか」「誰が何を話したか」が組織の資産になりません。 社内のSlackを漁ればお宝(ナレッジ)が見つかるような環境を作らなければ、担当者の不在や異動のたびにパートナーさんを困らせることになり、信頼残高を大きく削ることになります。
上記3点の理由より、このMessengerのブラウザ専用サイトとデスクトップアプリが終了するこのタイミングこそが、パートナーさんとのコミュニケーションスタイルを変更する大きなチャンスではないかと考えています。
これからの推奨アクション:相手に合わせた「ビジネスチャット」への移行と「チーム化」

では、私たちは今後どのように動くべきでしょうか。
前提:コミュニケーションチャネルはパートナー企業に合わせる
パートナーセールスの鉄則は、相手の利便性を最優先する「Give」の精神です。自社の都合を押し付けて自社のビジネスチャットでチャンネルを開設するのではなく、相手が普段使っているSlackやChatworkなどに合わせましょう。移行を打診すること自体が、パートナーさんのセキュリティを守り、生産性を高めるための「最高のGive」であると伝えてください。
「各パートナーの専用チャンネル」の開設と「会社対会社の強固なコミュニケーション」への転換
移行にあたっての推奨は、“各パートナーごとに専用チャンネルを設け、会社対会社で向き合う構造に転換すること”です。
これまでのメッセンジャーでのコミュニケーションでは、どうしても「担当者個人 × 担当者個人」の関係だけに閉じがちでした。しかし、それでは担当者の異動・退職・休職によって関係性が簡単に分断されてしまいます。
そこで重要になるのが、パートナー企業ごとに専用チャンネルを開設し、複数メンバーを巻き込んだ“面でのコミュニケーション”を構築することです。具体的には、以下のような体制をつくります。
- パートナー企業側の営業メンバーを全員(最低でも複数名)招待する
- 自社側も自分以外の他パートナーセールスやパートナー商談を担当するFSなど関係部門を含めて参加させる
- 資料共有、事例共有、FAQ、進捗報告をチャンネル内に蓄積する
こうすることで、
- 誰かが不在でも「即レス」を維持できる
- 情報がブラックボックス化せず、組織資産として残る
- パートナー側の営業現場の温度感をリアルタイムで把握できる
といった効果が生まれます。
これは単なるツール変更ではありません。
「個人間のやり取り」から「会社対会社の強固な連携」への進化です。
パートナー企業から見ても、「この会社は本気で支援してくれている」という安心感が生まれます。結果として、優先順位の向上、商談同席依頼の増加、情報共有の活発化など、アクティベーションの質が大きく変わります。
専用チャンネルの開設は、単なる利便性向上施策ではなく、パートナービジネスを本気で実装するための土台なのです。
まとめ:ツールを整えることも、大切な「パートナーセールス」の一歩

2026年4月のMessengerのブラウザ専用サイトとデスクトップアプリが終了を、「面倒な変化」ではなく「プロフェッショナルな関係へ脱皮する好機」と捉えましょう。
メッセンジャーからビジネスチャットへ移行し、情報を可視化・資産化すること。それは、パートナーさんが「より効率的に、より安心して売れる環境」を整えるという、極めて価値の高い行動です。
「メッセンジャーの仕様変更を機に、会社対会社のより強固な連携体制を整えませんか?」
この提案を、ぜひパートナーさんへ展開してあげてください。
また、今回のMessengerのブラウザ専用サイトとデスクトップアプリの終了は、BtoBにおけるコミュニケーションチャネルのあり方が大きく変化するきっかけになるのではないかとも考えています。
パートナーセールス研究会では現在Facebookコミュニティをメインに運営しておりますが、これを機にコミュニティ内でのコミュニケーションについても、再考していこうと思います!
