こんばんは。
パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
3週にわたってパートナービジネスにおけるインセンティブ、キャンペーンについて書かせていただきました。
今週の第4部がインセンティブ、キャンペーンに関するnoteの最後となります。
今週は一部のメーカー企業(ベンダー)で実施されているような、インセンティブ、キャンペーンについて書かせていただきます。
⑦クロスセルキャンペーン

パートナーさんに対して複数プロダクトをパートナー契約している場合、パートナーさんから複数プロダクトのセット販売を促すために使うキャンペーンです。
【特徴と効果】
特徴
- 期間限定で実施するケースもあれば、パートナープログラム内にクロスセルをした際の特典が最初から入っているケースもある
- クロスセル提案の難易度を下げるための工夫がかなり必要(クロスセル用の営業支援コンテンツの作成等)
- そのパートナーに対して期待しているメイン商材の拡販がまだ進んでいない場合は、クロスセル以前にまずはメイン商材の拡販に注力した方が良い(まずはパートナーさんとの信頼関係構築が最優先)
効果
- クロスセル提案の増加が期待できる
- メーカー側にとってもパートナー側にとっても顧客単価の向上につながる
- メイン提案の商材の周辺領域の商材を一緒に提案することで、提案された商材が顧客のニーズにマッチすれば利便性や顧客満足度が向上する
- その複数商材のターゲット顧客がそれぞれの商材で異なっている場合はこのキャンペーンは機能しづらい
→例)ターゲット顧客規模がそれぞれの商材でエンタープライズ企業と中小企業で異なる、ターゲット顧客の提案先カウンターパートの職種が異なる場合(例えば、商材Aは人事だが商材Bは経理というケース)、等
⑧アップセルキャンペーン

パートナーさん経由で受注後、パートナーさん側でカスタマーサクセス業務まで対応いただいている場合(コンサルティングパートナー※1 の場合)に使える、パートナーさんからのアップセルを促すために使うキャンペーンです。
※1コンサルティングパートナー:下記の「パートナー(代理店)契約の種類②」を参照ください。
【特徴と効果】
特徴
- 期間限定で実施するケースもあれば、パートナープログラム内にクロスセルをした際の特典が最初から入っているケースもある
- 販売価格の◯%を手数料として支払っている場合はプランアップができれば必然的に手数料金額は増えるが、それとは別でプランアップした初年度のみアップセルインセンティブを支払う形
- アップセル提案の難易度を下げるための工夫がかなり必要(アップセル提案の仕組みを構築しておく、カスタマーサクセス業務の研修、育成を行う等)
効果
- 継続時のアップセル提案の増加が期待できる
- メーカー側にとってもパートナー側にとっても売上、利益率の向上につながる
- パートナーさんがその契約した既存顧客に入り込んでいれば、その信頼関係を活用して高いコンバージョン率が期待できる
- 逆にパートナーさん側のカスタマーサクセス支援に満足いっておらず、チャーンレートが高まっている場合は、まずはアップセルのインセンティブを張る以前にカスタマーサクセス業務の見直し、育成が最優先
⑨パートナーポータルの初回ログインインセンティブ

メーカー側がパートナーさんに向けてポータルサイトを展開している場合、ポータルサイトへの初回ログイン、または初回ログインとポータル内の資料の初回ダウンロードをしていただけた際に手数料をアップするというインセンティブです。
ポータルサイトへのログインおよび資料ダウンロードを定着化させることが目的です。
【特徴と効果】
特徴
- 初回ログイン、または初回ログイン後の初資料ダウンロードでインセンティブを付与する形が多い
- 初回ログイン、または初回資料ダウンロードが実施される前提で、初期段階での手数料はやや低めに設定しておく
→実態としては初回ログイン後の手数料はメーカー側が当初から計画していた通常手数料の額であるが、パートナーさんへの見せ方としてはポータルにログインしたら手数料上がりますというお得感を見せる - 初回だけログインしたっきり、それ以降ログインされないというケースも多く、パートナーさん側にポータルサイトへのログインを定着化させる難易度が極めて高い
効果
- ポータルサイトへのログイン定着化によるメーカー側の工数削減、パートナー側のログ解析(誰が資料DLしたか、等)が期待できる
- インセンティブを付与することで、ポータルサイトへのログイン率や資料ダウンロード率が高まる可能性がある
- 一方で、パートナーの営業担当の皆さんからすると、メールアドレス、パスワードをわざわざ入力してログインすること、ポータルから資料ダウンロードするのはめんどくさがられる(問い合わせに対してすぐに対応してくれるメーカーをパートナー側は好む)
- パートナーの営業担当側の気持ちとしては、これまでのフローをあまり変えられたくないという心理がある
※メーカー側の都合でフローを合わせようとすると、パートナーさん側から嫌われてしまい、拡販が進まないというリスクもある - 加えて、問合せ、質問によるパートナーの営業担当の方とのコミュニケーション機会を損失するリスクもあり
→問合せ、質問への回答から深ぼっていくと、新たな案件の発掘や新たなアポ獲得につながる可能性が極めて高い - 信頼関係ができており、拡販が進んでからではないと(トップパートナー等)、あまり効果的ではない
⑩商材学習コンテンツの受講インセンティブ

メーカー側がパートナーさんに向けて用意した商材学習コンテンツ(eラーニング等)や理解度チェックテストなどを受講していただけた場合に、手数料をアップするというインセンティブです。
パートナーの営業担当の皆さんの商材インプットを増やすこと、商材を拡販していただく意識を付けることが目的です。
【特徴と効果】
特徴
- パートナー契約した直後に、パートナーへの商材インストールを目的に取り組むことが多い
- 学習プログラムはオンライン受講にするなど、パートナーの営業担当の皆さんが受講しやすいように柔軟な形式を取り入れる
- パートナーさんが学習コンテンツを受講される前提で、初期段階(初回ログイン前)での手数料はやや低めに設定しておく
→実態としては学習コンテンツ受講後の手数料はメーカー側が当初から計画していた通常手数料の額であるが、パートナーさんへの見せ方としては受講したら手数料上がりますというお得感を見せる - 初期から優先順位が高い商材という扱いになっていない限りは、パートナーさん側からめんどくさがられてしまうことが多い
効果
- 商材の学習をしていただくことで販売スキルの向上が期待できる
- 一方で、パートナーさん側での優先順位が高い商材である場合は除き、パートナー契約後のアクティベーションという観点では効果的ではない
→受講すると手数料が上がるため受講はするものの、だいたいのパートナーの営業担当の方は学習コンテンツを「流し」で閲覧したり、理解度チェックテスト等も他の方の回答をカンニングして回答されていたりするケースが大半であるため - 受講率が高い=アクティブ、受講率が高い=商材インプットが進んでいるというわけではない
- 信頼関係ができており、拡販が進んでからではないと(トップパートナー等)、あまり効果的ではない
⑪パートナー紹介キャンペーン

パートナー企業をアクティブ化させるためのキャンペーンではないため番外編とはなりますが、パートナー紹介キャンペーンを実施されているメーカーは稀にあります。
パートナー紹介キャンペーンは、既存のパートナー企業に他のパートナー企業を紹介してもらうことで、報酬や特典を提供する施策です。
目的は、ネットワークを拡大し、新しいパートナーを効率的に獲得すること、および紹介してもらったパートナー企業経由での商談数、受注数をを伸ばすことにあります。
【特徴と効果】
特徴
- 他パートナー企業の紹介インセンティブについては、下記のいずれかで設定されていることが多い
i)紹介された企業がパートナー契約を締結した場合に紹介手数料を支払う
ii)紹介された企業がパートナー契約を締結し、その紹介されたパートナー企業経由で初回受注に至った際に販売金額の◯%の手数料を紹介元のパートナー企業へ支払う
iii)その紹介されたパートナー企業が一定の成果を上げた際に、紹介元のパートナー企業へインセンティブを支払う - 紹介いただくパートナー候補について一定の条件を事前に設定しておかないと、ターゲット外のパートナーの紹介が増えてしまって逆に効率が悪くなってしまうため注意が必要
- 特にリテール(小規模)な個の能力が高いパートナーさんを増やしたい場合には有効的な手段
※例えば、個人で営業コンサルをやっている方、個人で採用コンサルをやっている方、など
効果
- 新規パートナーの獲得増加が見込める
→知り合いの方をご紹介いただけるので、パートナー契約を締結していただける可能性が高い - パートナー獲得コストの削減が期待できる(時間的にも費用的にもコスト効率が高い)
- 他のパートナー企業の紹介活動が評価されることで、そのパートナー企業のエンゲージメントが高まり、モチベーションが維持される
効果的なインセンティブ/キャンペーンのまとめ

パートナービジネスで成功するためには、インセンティブやキャンペーン施策もうまく活用し、パートナーの活動を支援することが不可欠です。
今回、4週にわたって11個のインセンティブ、キャンペーンをご紹介させていただきましたが、パートナーさん側がインセン、キャンペーン慣れをしてしまっているという実情もあり、インセンティブやキャンペーンでアクティベーションさせることも難しくなってはきました。
近年、SaaS企業でパートナービジネスを開始する企業が非常に増えている影響もあり、どこのSaaS企業でもインセンティブやキャンペーンを打っているというのが大きな要因の1つです。
そのため、特にまだアクティブ化していないパートナーさんやパートナー契約直後のパートナーさんに対するインセンティブやキャンペーンについては、実施目的をパートナーさんからの商談数、受注数を伸ばすことを目的に置くのではなく、どういうインセンティブ、キャンペーンを実施するとどのパートナーさんが動いてくれるというパートナーさんごとの属性、特徴を把握する目的で使うという方が賢明であると私は考えています。
パートナーさんとの信頼関係ができていない状態でインセンティブやキャンペーンを実施しても、まだパートナーさん側が「その商材を売ろう!」という気持ちになっていないため、たいていは動いていただけません。
まずはパートナーさん側の課題解決に向き合って、しっかりと信頼関係を構築していくことを優先しましょう。

とはいえ、どうしても急ピッチにパートナー経由の数字を伸ばさないといけないなんてこともあるかと思います。
その場合は、ある程度拡販が進んでアクティベーションしているパートナー(トップパートナー等)に対して、もっと数字を伸ばしてもらうためにインセンティブやキャンペーンを実施した方が効果的です。
ただし、上述のように、パートナーさん側がインセン、キャンペーン慣れをしてしまっているという実情もあるため、
- 他のメーカーがやっていないような新たなインセンティブ、キャンペーン企画を検討し、展開する
- パートナーさん側とインセンティブ、キャンペーンの実施にあたっての目標数字を握り合う
というような工夫は必要不可欠です。
まだまだ私も知らないインセンティブやキャンペーンもあるかと思います。
今後たくさんのパートナーセールスの方々と情報交換させていただく中で、何か新しいインセンティブやキャンペーンを見つけたら、またこのnoteを更新するか、または新たにインセンティブ、キャンペーンのnoteを書こうと思います。
いくつかのインセンティブやキャンペーンを効果的に組み合わせ、適切に運用することで、パートナービジネスの拡大を目指していきましょう。

最後になりますが、このnoteが2024年最後のパートナーセールスnoteとなります。
2024年の1年も非常に多くの方にこのパートナーセールスnoteを読んでいただけました!本当に感謝です!
2025年もこのパートナーセールスnoteをよろしくお願いいたします。
それでは皆様、良いお年をお迎えください〜!