パートナーアクティベーション

地方銀行・信用金庫アライアンス活性化のための基礎情報③

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パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。

先日、「地方銀行・信用金庫アライアンス活性化のための基礎情報①」と「地方銀行・信用金庫アライアンス活性化のための基礎情報②」を、

加えて「対地銀アライアンス戦略セミナーのレポート」を書かせていただきました。

今回は先日の②の続きで、地方銀行・信用金庫アライアンスを活性化させるために知っておくべき情報をまとめさせていただきます!(今回は少しコアな情報もあります)

地銀/信金との直契約以外の方法、Linkers for BANK & ビジクル

地方銀行のアライアンスにおいて、地方銀行に直接アプローチをしてビジネスマッチング契約を締結するという方法のほか、Linkers for BANKやビジクルなどを活用して地方銀行とのアライアンスを開始するという手段もあります。

それぞれどのようなサービスなのか、下記より解説させていただきます。

Linkers for BANKとは?

Linkers for BANK」 は、リンカーズ株式会社が提供する 地方銀行向けのビジネスマッチング支援プラットフォーム です。全国に広がる企業ネットワークと技術データベースを活用し、地域企業に新たなビジネスチャンスを提案できる仕組みを提供しています。

最大の特徴は、全国規模の企業情報や技術情報にアクセスできる点 にあります。従来、行員個人の経験や地域内のネットワークに頼りがちだったマッチング活動が、Linkers for BANKを活用することで、幅広い企業候補の中から最適なパートナーや技術をスピーディに発掘 できるようになります。

また、マッチング候補の選定には Linkersの専門コーディネーター が関与し、高い精度とスピード感のある提案 が可能になります。これにより、行員の業務負担軽減と提案力向上の双方を実現します。

🧩特徴・導入効果

  • 成約率の向上に特化
    案件・企業情報のデータベース化により、社内共有や検索精度、マッチング精度が格段に向上します。
  • 豊富なネットワーク
    2025年5月末時点で、48の金融機関(地方銀行・信用金庫等)が導入。約290万社の企業・3.8万人の行職員ネットワークと連携。
  • 高い導入実績と実効性
    導入機関の直近3年間で、商談件数・成約件数は約200%増、マッチング収益は約450%増という顕著な成果をあげています。
  • 広域・機関間連携機能
    異なる地域の銀行や支店間での案件共有が可能で、ネットワークを超えたマッチングを実現 。
  • シングルサインオン(SSO)対応
    最新導入例では、東日本銀行にSSO連携機能とともに提供され、職員のアクセス性とセキュリティが強化されています。

※出典:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000154.000025417.html?utm_source=chatgpt.com

ビジクルとは?

ビジクル は、株式会社BusinessTech が提供する 地方銀行向けの法人ソリューション・マッチング支援サービス です。単なるマッチングプラットフォームではなく、コンサルティングとデジタルツールの融合 により、地方銀行のビジネスマッチング活動の高度化と効率化を支援します。

最大の特徴は、行内に蓄積されるニーズ情報やマッチングノウハウを可視化・体系化できる点 にあります。行員が日々の営業活動で得た情報をデータベース化し、それをもとに精度の高いマッチング提案が行える仕組みを構築します。

さらに、案件進捗管理機能実績分析機能 を活用することで、マッチング活動のPDCAサイクルを確立。属人的な対応から脱却し、組織としての提案力・支援力を底上げすることが可能になります。

また、導入後の活用定着支援 にも注力しており、現場の行員がマッチング活動を自走できる体制づくりをサポートします。単なるIT導入にとどまらず、業務改革や組織変革まで視野に入れたサービス である点が大きな強みです。

🧩特徴・導入効果

  • MUFGグループが提供する法人向けサービス
    三菱UFJ銀行が2021年11月に51%出資し、連結子会社として事業展開しています。
  • 課題診断と事例提案機能
    経営課題の診断から、1,000件以上の事例データベースをもとに、貴社に適したサービスを自動提案。
  • 専門コンシェルジュによるサポート
    サービス選定の相談から、提供企業との調整・商談申し込みまでコンシェルジュが支援。
  • 無料・審査制の法人向けサービス
    法人ユーザー(銀行、信用金庫など)向けで、登録・利用は審査制。紹介料などの手数料は不要 。
  • 多くの金融機関で採用実績
    秋田銀行京都中央信用金庫など、地方金融機関に多数広がっています。
  • 大手クラウド・サービスとの連携
    弥生やfreeeとサービス提携し、中小・小規模事業者のDX支援に利用
  • 全国のDX支援企業とのプラットフォーム連携
    地方企業向けにBTMのサービス出品も開始(2023年11月)

※出典:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000201.000015865.html?utm_source=chatgpt.com
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000102907.html

パートナーセールス・アライアンスにおいて考えるべきポイント

どこの金融機関もですが、何百・何千ものアライアンス商材との契約をしています。そのため、新たなアライアンス商材を増やすことを躊躇う金融機関も多く、アライアンス締結のハードル自体が以前よりも高まっています。

そのような場合、今回ご紹介したLinkers for BANKやビジクルを活用されると、金融機関での取り扱いをスタートできるので検討してみても良いのではないかと思います。

注意点として、Linkers for BANK・ビジクルそれぞれが入っている金融機関が異なりますので、自社がアプローチされたい金融機関はLinkers for BANKかビジクルのいずれが入っているのか(どちらも入っていないかも含め)、事前にリサーチした上で進めていきましょう。

地域デジタル化支援促進事業

🌱 地域デジタル化支援促進事業とは?

地域デジタル化支援促進事業は、地域金融機関などが地域の中小企業に対して行う、デジタル化支援コンサルティングを後押しするものです。地域企業をデジタル化へ“伴走支援”することで、生産性向上や地域経済の活性化を目指します 。

2023年12月に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の一環として、中堅・中小企業DXの推進を目的としています 。

出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiiki_digital/pdf/jigyou_gaiyou.pdf

📅 実施スケジュールと補助内容

  • 対象期間:2025年3月~2026年1月31日 
  • 対象機関:地域金融機関(大企業ではなく、本社が東京都以外または条件不利地域にあるもの) 
  • 支援内容
    ・地域企業との日常的な信頼関係を活かし、業務課題の抽出から、デジタル化に向けたコンサルティング、アフターフォローまでを一貫して提供。
    ・支援に対する“対価支払い”があった場合、その人件費の50%(上限100万円)を補助 。
  • 総予算枠:4,000万円 

🏢 間接補助事業者(実施機関)

出典: https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiiki_digital/pdf/jigyou_gaiyou.pdf

令和6年度の採択状況

  • 第1次公募(2025年3月3日公表)では、全国69の地域金融機関等で構成される65コンソーシアムが採択されました 。
  • 第2次公募(2025年5月28日公表)では、さらに4組織が追加採択されています 。
  • PwCコンサルティング合同会社が一括で事務局・執行管理機関として関わっています 。

📝事例

各地銀(コンソーシアム)の地域デジタル化支援促進事業における事例も出ております。

https://dx-support-improvement.jp/site/wp-content/uploads/2025/04/%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%95%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E5%8C%96%E6%94%AF%E6%8F%B4%E4%BF%83%E9%80%B2%E4%BA%8B%E6%A5%AD-GUIDE-BOOK-.pdf

パートナーセールス・アライアンスにおいて考えるべきポイント

地銀・信金は国からの補助金に対して、過敏に反応することが多いです。

例えば、数年前に始まった地域金融機関による人材紹介事業、「先導的人材マッチング事業」。この事業が開始した当初、金融機関は成約1件ごと(人材紹介での1名採用決定ごと)に補助金として上限100万円を受け取れるといったモデルになっておりました。
※現在は「雇用契約(フルタイム)の人材」で両手型(企業対応と求職者対応のどちらも行う)の支援だと理論年収×16%、片手型(企業対応のみ行う)の支援だと理論年収×10%、雇用契約(フルタイム)以外の人材だと理論年収×8%+20 万円が補助金の交付額となっているようです。

この事業が開始された当時、多くの地域金融機関がこの事業の開始に乗り出して人材紹介業を開始。各支店の予算(目標)にも人材紹介での成約件数(または成約金額)が付けられました。

地域デジタル化支援促進事業においては、補助対象となる地域金融機関の役務が「⽀援企業に対して⾏うデジタル化に関する役務提供(コンサルティング)」となっています。つまりは、これまでの「ビジネスマッチング」のみだと補助対象外となってしまうわけです。

この役務提供の内容と過去の地域金融機関向けの補助金事業の傾向を踏まえると、各地域金融機関が地域デジタル化支援促進事業の対象とするアライアンス商材を絞ってくる可能性も高いです。この事業の対象とする商材を絞る、つまりは注力商材を絞ることになれば、当然現場の各支店の営業の予算(目標)においても、地域デジタル化支援促進事業の対象とするアライアンス商材を販売した方が各行員にとってのポイント設計(評価ポイント)が高いなどの予算設計をされている地域金融機関も出てくるでしょう。

ですので、新たな地銀・信金とのアライアンス開拓をされる際、下記を必ず確認されると良いでしょう。

  • その地銀・信金が地域デジタル化支援促進事業に採択されているかを確認
  • 実際にアライアンス締結の交渉の場で、地域デジタル化支援促進事業の対象とする商材を絞っているのかを確認
  • (対象とする商材を絞っている場合)各支店の行員の予算・目標についても地域デジタル化支援促進事業の対象としている商材の方が評価ポイントが高い予算設計をされているのかを確認

まとめ

本記事で紹介した「Linkers for BANK」と「ビジクル」は、いずれも地方銀行・信用金庫との直接のアライアンス締結が難しい場合の手段として、非常に有効的な手段となる可能性は高いかと考えています。

また、「地域デジタル化支援促進事業」については少しコアな内容となりますが、私自身が多くのパートナーセールスの方々とお話している中で、意外に知らない方も多かったため、今回取り上げました。

地域金融機関に対しては国からのこのような補助金事業が走ることも多く、その影響は計り知れないほど大きくなることも結構多いです。そのため、パートナーセールスの方は「国の政策の動きも追っておく」というのも大事かと考えています。

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大手SaaSでパートナーセールスに従事し、パートナーセールスをハンズオンでゼロから立ち上げました。

その過程で、300社以上が参加するパートナーセールス研究会を立ち上げ、多くの企業と成功事例を共有してきました。

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