現在のB2Bセールスの現場では、パートナーセールスを活用してSaaSプロダクトを拡販する戦略が注目されています。
SaaSメーカーがパートナーネットワークを通じて効率的に市場を広げるには、いくつもの課題を乗り越える必要があります。
本記事では、それらの課題を分析し、解決策を提案します。
1. 情報共有の難しさ
パートナーセールスを成功させるには、パートナー間で情報を的確に共有し、意思決定を同期させることが不可欠です。
しかし、パートナー企業が増えるほど、情報の収集や共有が複雑化し、課題となります。
- 解決策: CRMシステムや情報共有に特化したツールを活用することで、コミュニケーションの透明性を高め、リアルタイムでの情報共有を実現できます。
しかしながら、現時点ではそのような最適なシステムはまだ無いと考えています。
ポータルによる情報共有もログインしてわざわざ見てくれるパートナーさんは数十%くらいしかいませんので、あまり効果はありません。それでもポータルを用意したい方は、NotionとSotionの組み合わせでポータルを制作されると破格のコストである程度のログを追って運用ができます。
2. 成功基準の個別化
各パートナー企業のビジネスモデルや優先事項は異なるため、統一的なプロセスで管理することが難しい場合があります。
この多様性が、SaaSメーカーとパートナー間の関係を複雑化させる一因です。
- 解決策: 各パートナーが異なるビジネスモデルやプロセスを持つ場合に備え、柔軟性の高いシステムが必要です。
しかし、現時点ではそのような万能なシステムは存在しておらず、多くのSaaSメーカーが個別の要件に応じたカスタマイズや手動対応に依存しています。
この課題を克服するには、新たなプラットフォームの開発や、より高度なAPI連携といったカスタマイズが求められるでしょう。
今後、こうしたシステムが実現すれば、パートナー間の協力体制をさらに強化し、効率的なプロセス管理が可能になるかもしれません。
メーカー側都合のオペレーションに合わせてもらおうとすると、大概はその運用フローは定着しません。
ポータルサイトを用意したのに、パートナーさん側から「営業資料が欲しい」「事例資料が欲しい」というようなポータルサイトに入っているような内容に関する質問がなん度もくるのが顕著な例です。
3. コミットメントの追跡の難しさ
パートナーセールスでは、パートナーが設定した目標に対する進捗や成果を正確に追跡することが求められます。
しかし、複数のパートナーと同時に進行するプロセスを管理するのは容易ではありません。
- 解決策: アクションログやタスク管理機能を備えたツールを活用し、リアルタイムで進捗を把握できる仕組みを整えることで、次のアクションを計画しやすくなります。
現状では、スプレッドシートでの運用がメインになっているケースが多いかと思います。
パートナーさん側も大概は自社で何かしらのCRMを入れているため、メーカー側から指定されるシステムに案件登録して更新させるというフローだとまず成立しません。
加えて、パートナーさん側のCRMシステムと連携させようとする場合についても、大抵はパートナーさん側から嫌がられることが多いです。
スプシ管理する場合は、例えばSalesforceを利用されている企業の場合は、「G-connector for Salesforce」を利用されると便利です。
4. エンドユーザーのニーズとのギャップ
パートナーの目標とエンドユーザーの期待が一致しない場合、最終的なプロダクトの価値が十分に伝わらない可能性があります。
これにより、SaaSメーカーとパートナー間の信頼関係に悪影響を及ぼすこともあります。
- 解決策: エンドユーザーのフィードバックを迅速に収集し、それを製品やプロセスに反映する仕組みを導入することが重要です。
これには、オンボーディングプロセスの改善や柔軟なソリューション設計が役立ちます。
結論
SaaSメーカーがパートナーセールスを用いてプロダクトを拡販するには、多くの課題を解決する必要があります。
しかし、適切なツールやプロセスを導入することで、これらの課題を克服し、パートナーとの関係をより強固なものにすることが可能です。
成功するパートナーシップを構築し、SaaSプロダクトの市場浸透を最大化しましょう。