皆さん、こんばんは。
パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
最近、「パートナーセールス」という職種の認知度が上がり、興味を持ってくださるビジネスパーソンが増えてきている気がします。
今週のパートナーセールスnoteは、「パートナーセールスのやりがい」について書かせていただきます。
パートナーセールスとは?他職種との違いと基本的な役割

パートナーセールスは、自社の商品・サービスをパートナー企業(第三者)を通じて間接的に拡販する営業手法です。
自らがエンドユーザーに直接販売するのではなく、「パートナーが売れる状態をつくる」ことがミッションとなります。
たとえばSaaS業界であれば、販売代理店・SIer・Web制作会社・地方銀行などがパートナーとして、自社のサービスを提案・導入してくれます。
パートナーセールスの仕事は、そうしたパートナーの営業担当者に対して製品知識の提供や提案資料の整備、案件獲得のための勉強会実施、キャンペーン企画、同行営業などを通じて、彼らの営業活動を成功に導くことです。
他の営業職と比較してみると、パートナーセールスの立ち位置がより明確になります。
職種 | 主な営業相手 | 目的 | 特徴 |
---|---|---|---|
フィールドセールス | 企業の購買担当者など | 商談~契約 | 顧客に直接営業し受注を狙う |
インサイドセールス | 見込み顧客 | アポ獲得・関係構築 | オンライン中心に顧客育成、商談獲得 |
カスタマーサクセス | 既存顧客 | 継続利用・満足度向上 | 契約後の支援が中心 |
パートナーセールス | 代理店・販売パートナー | パートナー経由で拡販 | 売るのはパートナー。支援・関係構築が鍵 |
パートナーセールスが他職種と大きく異なるのは、「自社とパートナーの“両方の成功”にコミットする」点にあります。
自社のKPI(売上・シェア獲得など)を達成するだけでなく、代理店の売上や営業活動そのものを一緒に伸ばす必要があります。
ときにはパートナーの目標設計や育成にも深く入り込むなど、共創型のビジネス関係を築くのがこの職種ならではの醍醐味です。
また、社内外の関係者との調整が非常に多いため、営業スキルだけでなく、プロジェクト推進力・調整力・戦略立案力など、ビジネスの総合力が求められるのも特徴です。
このようにパートナーセールスは、単なる「営業担当」ではなく、社内外のハブとなってビジネスをスケールさせる「仕組みづくりと伴走のプロフェッショナル」。他職種にはない、やりがいと成長機会にあふれたポジションなのです。
やりがい①「多様なパートナーとの協働で市場拡大を実現」

パートナーセールスの最大の面白さは、「自社だけでは届かなかった市場に、パートナーの力を借りてアプローチできる」という点にあります。
パートナー企業はそれぞれに独自の顧客基盤や営業ネットワークを持っており、業界や地域も多種多様。例えば、SaaSプロダクトであれば、IT専門商社やSIer、Web制作会社、地方銀行などがパートナーになることで、まったく異なる業界へのリーチが可能になります。
つまり、パートナーセールスは“販路拡大の最前線”で戦略を描くポジション。新しい販売チャネルを開拓したり、パートナーごとに異なる営業資料や施策を準備したりするなど、非常にクリエイティブでダイナミックな仕事です。
「このパートナーとの協業で、今まで攻められなかった業界に導入が広がった」
「この施策で代理店の売上が昨年比150%に成長した」
――そんな成功体験を共有できるのも、やりがいの1つです。
やりがい②「人間関係構築のプロフェッショナルになれる」

パートナーセールスは、営業職の中でも特に「信頼関係の構築」が成果を左右する仕事です。
なぜなら、パートナー企業は“自社の商材だけ”を売ってくれるわけではなく、複数の競合商品も取り扱っているケースがほとんどであり、自社の商材はそんな中のone of themに過ぎません。そのため、「この人からの情報は信頼できる」「この担当者は売りやすさを考えてくれている」などと感じてもらえるかどうかが、パートナーの営業担当が自社商材を推してくれるかどうかを左右します。
つまり、ただの“営業先”ではなく、“共に売上をつくるパートナー”としての関係を築くことが重要なのです。
そのため、提案力だけで解決することはなく、日頃のコミュニケーションやレスの速さ、ちょっとした気遣いなどの信頼の積み重ねがものをいいます。定期的な情報提供、相談に乗る姿勢、販促物の共有、勉強会の実施など、丁寧な伴走がパートナーとの関係を深めていきます。
このような“長期的な関係構築”を通じて、営業としての対人スキルや信頼形成力は格段に磨かれていきます。「売って終わり」ではなく「一緒に成長していく関係」を築ける——それが、パートナーセールスならではのやりがいです。
やりがい③「戦略的思考とビジネススキルの向上」

パートナーセールスは、“売る力”以上に“考える力”が求められます。
どのパートナーに、どんなアプローチを仕掛ければ売上が最大化するのか――
パートナー企業ごとに業態も異なれば事業方針も企業文化も異なります。そのため単なる営業とは違い、各パートナー企業ごとの“力学がどこにあるのか”を考えるところ、つまりはパートナーに協力してもらうための戦略立案から関与できる点が大きな特徴です。
たとえば、
- 市場や競合状況を分析して施策を考える力
- 社内外の関係者を巻き込みプロジェクトを推進する力
- パートナーごとの営業フローやKPI設計
これらを駆使するうちに、自然とマーケティング視点や事業企画的な視野が身についていきます。
また、パートナー企業と協業する上では、価格交渉、契約内容の調整、共同プロモーションの実行など、非常に幅広い業務経験を積むことが可能です。
これらは他の営業職ではなかなか経験できない「戦略×実行力」を兼ね備えた貴重なスキルになります。
やりがい④「組織を超えたネットワークと信頼関係の構築」

パートナーセールスは、社外だけでなく社内のあらゆる部署との連携が不可欠です。
たとえば、
- マーケティング部門と連携して販促キャンペーンを設計
- プロダクト部門と連携してパートナーからの要望をフィードバック
- カスタマーサクセスと連携して導入後の支援体制を整備
このように、“1人の営業”というより“プロジェクトマネージャー”のような立ち回りが求められ、自然と組織横断的なネットワークが広がっていきます。
さらに、社外ではパートナー企業の経営層や現場のトップ営業とも深く関わることが多く、人間関係の幅が一気に広がるのも魅力の一つ。「◯◯社の部長と定期的に戦略MTGをしている」なんてことも珍しくありません。
さらには、パートナー企業側の奥深くまでには入っている猛者クラスになると、パートナー企業の経営戦略・事業戦略を立てるところから入り込むというようなケースもあるため、擬似経営経験・擬似事業部長経験も積めるでしょう。
このように、信頼関係をベースにした長期的なビジネスパートナーシップを築けることは、営業としてのやりがいだけでなく、大きな自己成長にもつながります。
やりがい⑤「キャリアの多様性と自己成長の機会」

パートナーセールス経験者は、SaaS企業やスタートアップにおいて“経営に近い人材”として評価されることが増えています。
その背景には、パートナー企業の売上を設計・支援しながら、自社の成長戦略にも関わる“中長期的な視野”があるからです。
実際、パートナーセールス出身者がCOOや事業責任者、新規事業開発などにキャリアアップするケースも多数あります。
「関係構築力」「戦略思考」「調整力」「実行力」という、ビジネスの基礎体力をフルに鍛えられる職種だからこそ、転職市場でも高く評価されるのです。
また、実務では課題解決の連続。パートナーが動かない、売れない、情報が伝わらない……といった状況に向き合う中で、自然と“主体性”と“突破力”が身につきます。
未経験からでもチャレンジ可能なうえに、ハイレベルなスキルを獲得できる――そんな成長機会にあふれた仕事が、パートナーセールスなのです。
パートナーセールスのやりがいとは?まとめ
パートナーセールスは、パートナー企業と協力しながら、自社の成長を加速させる“戦略的な営業職”です。
単に商品を売るのではなく、パートナーと共に「売れる仕組み」を創り、「継続的な成果」を出し続ける。そのプロセスの中で、多くのスキルや人間力が磨かれます。
今回ご紹介した5つの魅力を改めてまとめると:
- 多様なパートナーと協業し、販路を広げられる
- 人間関係構築のプロフェッショナルになれる
- 戦略立案や分析を通じて、ハイレベルなビジネススキルが身につく
- 社内外の信頼関係を築くことで、広いネットワークができる
- キャリアパスが広く経営に近い立場も目指せるため、自己成長を実感できる
パートナーセールスは、営業職の枠を超えて“事業全体を前に進める立場”として活躍できる仕事です。
「今よりもっと広い視点で、ビジネスに関わっていきたい」「関係構築が得意で、相手の成功に貢献したい」――そんな方に、ぜひ一度チャレンジしてみてほしい職種です。
パートナーセールスという職種をもっとたくさんの方々に知っていただき、1人でも多くのビジネスパーソンに興味を持っていただけたら嬉しいなと考えています!