パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。
12/16(火)に、株式会社スイセイ様主催の「事例から学ぶ、パートナーセールスの全体像と活用方法について」に登壇させていただきました。今週は、そのセミナーレポートを書かせていただきます。

当日は、3社によるLTセッションとQ&Aという形式で開催されました。
パートナーセールス完全攻略ガイド

synergeee 葛西:
私からはパートナーセールスに関する全体のお話をさせていただきますが、時間の都合上、要点を絞ってお話させていただきます。
そもそも、なぜ今パートナーセールスが注目を浴びているのか?
背景は大きく3つあると考えています。
1つ目は「CAC(顧客獲得コスト)の高騰」。2つ目は「営業リソースの不足」。採用難易度や育成コストの上昇が挙げられます。3つ目は「新規市場の開拓」。自社のマーケティングだけでは獲得できるリードの限界があるためです。これら3つの要因から、現在「パートナーセールス」が注目されています。

パートナーセールスとは、一言で言えば「自社のサービスをパートナー企業に代理で販売・紹介してもらう仕組み」です。最近のトレンドとしては、単に商材を展開して売ってもらうモデルから、複数のメーカーとパートナー企業が共創し、共に成長していく「エコシステムモデル」を構築される企業も増えてきています。

パートナーセールスのメリット・デメリット
synergeee 葛西:
メリットは大きく4つあります。

- 営業リソースのスケーラブルな拡張
- コスト効率の向上とCACの最適化
- 新規市場・顧客層へのアクセス
- 顧客からの信頼獲得
一方で、デメリットも存在します。

- 成果が出るまで時間がかかる
- パートナーへのイネーブルメント(育成・支援)コストがかかる
- パートナーへの依存やコントロールの難しさ
日本でパートナービジネスを始める企業が直近非常に増えていますが、正直なところ「パートナービジネス、非常に上手くいってます!」という企業にはあまり出会ったことがありません。多くのパートナーセールスの方々とお話させていただく中で、その要因として以下の4つの構造的な課題があると私は捉えています。

- パートナーとメーカーのパワーバランス:
└日本市場では圧倒的にパートナー(販売店)の方が力が強い構図にある - トップ機能不全:
└メーカー側はパートナーに対して予算(目標)を設定したいと考えますが、最初からコミットした予算設定ができるケースは非常に稀である - KPI設計の複雑さ:
└パートナー企業の習熟度や、パートナー側の個々の営業担当者の習熟度が異なるため、画一的なKPI設計が難しく、それぞれに合った設計が必要 - 活動のブラックボックス化:
└外部組織であるため、活動内容が見えづらくなる
パートナービジネスを開始するタイミングとパートナー選定軸
synergeee 葛西:
これからパートナービジネスを始める場合、どのタイミングが良いのかという点ですが、特に重要なのは以下の3点です。

- PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成後
└自社の営業でも売れない状態では、第三者のパートナーが売れることはほぼありません。PMFの達成は絶対条件。 - 直販モデルである程度の成果が出た後
└営業の型ができていない段階で展開しても、パートナーさん側で売れることはほぼありません。自社で売れる「型」ができていることがマスト要件。 - さらなる事業の拡大を目指すタイミング
└上記2点を満たした上で、さらに事業の拡大を目指すフェーズが、開始するタイミングとして適している(もしくは、さらなる事業拡大を見据えて、早い段階からパートナーチャネルを育てておきたいと考えられるタイミング)
パートナー契約のモデルには様々なモデルがありますが、「紹介代理店」「販売代理店」「リセラー(再販)」の3つを覚えておけば概ね問題ありません。

次に、どのパートナーと組むべきかという選定軸についてです。最低限押さえるべき選定軸として、以下の5つは最低限必要かと考えています。
※トップパートナー候補の選定という観点です

- 営業組織の規模:
└営業担当者が多いほど抱えている顧客数も多くなるため、必須条件。 - ターゲット顧客層との一致:
└自社のターゲットと一致するか。例えば、自社がエンタープライズ向けなのに、パートナーが中小企業のアカウントしか持っていない場合は開拓が進まない。 - 提案先の職種マッチング:
└例えば人事向けサービスなら、パートナー企業も人事に直接アプローチできるところじゃないと、なかなかうまく進まない。 - 営業担当者へのインセンティブ構造:
└手数料を払っても現場の営業担当者の成績に反映されないケースがあるが、営業個人にメリットがないと動いてもらえないため、必須確認事項。 - 現場営業との連携:
└企画部門が営業現場との間に入って窓口となるケースも多いが、実際にお客様へ提案・販売するのは現場の営業担当者。そのため、彼らと直接コミュニケーションが取れないと拡販は進まない。
代表的なパートナー企業の種類としては、以下のような特性があります。

- 地方銀行: 中小企業経営者へのアプローチに強み。
- 大手OA機器・IT商社: 総務や社内情報システム部門のアカウントが多い。
- 地域ITベンダー(ローカルキング): エリア開拓に強み。
- 士業: 経営層や管理部門へのアカウントを持つ。
- 顧問: 特定企業に深く入り込んでいるため、エンタープライズ開拓に有効。
パートナービジネス=「ファンマーケティング」
synergeee 葛西:
パートナー契約後、どう成功させるか。一言で言えば「パートナー企業内のファンを増やすこと」が重要です。つまり、パートナービジネス=「ファンマーケティング」という発想を持つと良いかと思います。
パートナーセールスがうまくいっている会社さんで実施している具体的な運用手法として、最低限この5つはどの企業さんも必ず行なっていることが多いです。

- 徹底的に相手のことを知る
└相手を知らなければ、パートナーへ提供できるメリットを考えることができないため、パートナーに対してどのようなメリットを見出せるのかを考えるためにも、まずは相手を深く知ることが重要。 - 提案環境の構築
└パートナーにとって、自社商材が「売りやすい環境」を整えてあげられるかどうかが成果を左右する。 - 連絡手段を相手に合わせる(チャットチャンネルの開設など)
└チャットに限らず、パートナーが希望する「連絡が取りやすい手法」にこちらが合わせることが非常に重要。 - 即レスと背景の深掘り
└即レスをする担当者は、パートナーから非常に好まれる。また、質問が来る=「提案したい案件がある」「興味がある」というサインのため、その背景を深掘りすることで、プラスアルファの提案にも繋がる。 - 定期的な接点の継続
└定例会や勉強会など、手法を問わず定期的に接点を取り続けることが不可欠。
synergeee 葛西:
これらをやることによって、パートナー企業の中にファンになってくれる営業を増やしていく。まさにパートナーセールス=「ファンマーケティング」であると私は考えています。

今日は特に、この「パートナーセールス=ファンマーケティングである」といったところだけ、皆さんには是非押さえていただきたいなと考えております。
司会: ありがとうございます。パートナーセールスをここまで構造化して、もはや学術化しているのは葛西さんしかいないんじゃないかと思います。会場から質問はありますか?
参加者A様: パートナーセールスの立ち上げにあたって、パートナーを増やしていきたいという思いがあります。先ほど「結局一つ一つ開拓していくしかない」というお話もありましたが、リストアップについて伺いたいです。
リコーさんや大塚商会さんのような超大手のパートナーはすぐ思いつきますが、そうではない、自分たちのフェーズや実力に見合った「ちょうどいいパートナー」のリストはどうやって作ればいいのでしょうか。
synergeee 葛西: 一番は、貴社のプロダクトを利用されている既存ユーザーさんの声を拾うのがいいかなと思っています。「既存のユーザー企業さんにはどのような業者さんが入っているのか」を聞いていただくと、それがヒントになってリスト化しやすくなると思います。時間はかかりますが、許されるのであれば、既存ユーザーさんからヒアリングしていくやり方が一番間違いないですね。
あとはパートナー数を拡大していくのか、絞ってピンポイントに増やしていくのかにもよって手段は変わりますが、問い合わせフォームやテレアポのようなアウトバウンド型もありますし、パートナー募集LPや既存ユーザー企業様にパートナーにもなってもらうというような手法もありますね。
1つやってみて失敗だったなーという取り組みは、Web広告やSNS広告の活用は大失敗でした。CPAが高すぎて、ROIが非常に悪かったです。Web広告やSNS広告でのパートナー募集は、よほど知名度の高いサービスとかではないと難しいかなと思います。
クラウドサーカスのパートナービジネス成長事例

クラウドサーカス 小此木氏:
改めてクラウドサーカスの小此木と申します。私は新卒でこの会社に入りまして、そこから直販の営業、営業責任者、プロダクト責任者を経て、パートナービジネスを立ち上げております。
会社としてはデジタルマーケティングSaaSを提供しており、MA(マーケティングオートメーション)、CMS、チャットボット、AI関連など、DX支援を中心に展開しています。親会社はプライム上場のスターティアホールディングスで、主にコピー機などのOA機器販売をしている会社から分社化してできた経緯があります。

我々のこれまでの流れを簡単にまとめますと、2022年に私が営業責任者をやっている中で「このまま直販だけで飛躍的な成長をし続けられるのか」という課題があり、パートナービジネスを開始しました。 我々はプロダクトが12個ありまして、当時も9個ほどあったのですが、まずは一つに絞ってはじめました。葛西さんのお話にもあった通り、PMFができており国内シェアNo.1である商材を持っていたので、そのプロダクトを中心に広げていった形です。

- 立ち上げ期(既存ユーザー100社アプローチ、2名体制、BDR中心)
- 拡大期(2023:ディストリビューター連携、OA販社拡大、組織8名)
- 深耕期(成果転換:個社別成果、担当上限ルール)
- 拡張期(2025:BowNow単体→複数プロダクトへ)
立ち上げ期:100社の既存ユーザーへのアプローチから開始
クラウドサーカス 小此木氏:
一番最初にやったことは何かと言うと、商材シナジーのある業界のパートナー開拓です。我々がデジタルマーケティングSaaSで、当時も今もそうですが、シェアナンバーワンのマーケティングオートメーションという領域のサービスを持っていましたので、そことマッチするWeb業界のパートナー様を開拓していきました。
私たちの顧客は主に中小企業であり、エンタープライズ企業はターゲット外なので、本当に中には1名のWeb会社であったり、数名、10数名といった会社を獲得していきました。まずは導入いただいている100社ほどのWeb会社様に「自分たちが活用して売上が上がっているこのサービスを、お客様に提案しませんか」と連絡していくところから始めました。
メンバーは最初、私ともう1名の2人体制でした。この1名の担当がずっとBDRという形で、基本的にはリストアップして電話、リストアップして電話というのを繰り返してやってきました。
拡大期から深耕期、そしてプロダクト拡張へ
クラウドサーカス 小此木氏:
23年がパートナー拡大期で、ディストリビューターとの連携を強化してOA販売店を広げていきました。ビッグネームもあれば、そのエリアで6割の口座を持っているような「ローカルキング」を抑えていったと。この時に組織を8名に増やし、私も全国を飛び回って契約を作りに行きました。昨年は深耕期で、広げたところから実際に成果に変えていくため、パートナー様個社ごとの成果にフォーカスしていく深耕をしていきました。
具体的には、「目標設定ができるか」や「パートナー様の中でキーマンとしっかりとコネクションが取れているか」など、こういったところを軸にしています。そして「1人当たり何社まで」という、何社以上担当してはいけないっていうようなルールを作って、あえて絞って深掘りをしていっています。
今年2025年に関してはプロダクト拡張期と捉えています。昨年までは、BowNowというサービス1本だけでやっており、他のプロダクトのパートナーになりたいという希望をいただいても基本的にはお断りしていました。
これまで会社として300社ぐらいのパートナー様がいて、その中でもコアとなる積極的に販売していただけるパートナー様も見えてきましたし、顧客というのも見えてきました。そこに対して、クロスセルやアップセルをしていくための別プロダクトを展開していくというのを今期から取り組んでいます。
属性の異なる2つのパートナー層
クラウドサーカス 小此木氏:
大きく分けると属性としては2つですね、「Web業界のパートナー」と「OA商社」という、2つの属性のパートナーがクラウドサーカスにはおります。

- Web業界パートナー:経営層接点が強い/即レスが起きやすい
- OA商社:中小向け顧客基盤・営業力・人員が強み
クラウドサーカス 小此木氏:
Web業界は本当に相性がいいですね。特に地方の会社においては、経営層とエンドユーザーの経営層と繋がってますので、それこそ今日も、パートナー様から連絡があって「即レスしてきました」みたいなところがあったりします。
OAに関しては、お客様が中小企業中心であるため、そこに対して顧客基盤、営業力、人員を持っていることが最大の強みになっていると考えています。今日はWeb業界の方を中心にお話ししますが、まずOA側についても一度、どのような取り組みをしているか触れたいと思います。

OAパートナーで一番苦戦したのは、OAのパートナー様が扱ったことのないセグメントの商材だった点です。いわゆるOA系ではバックオフィス側が中心で、商談相手は総務や情シスになることが多いと思います。一方でデジタルマーケティングのサービスは扱いに慣れていない場合が多く、カウンターパートも一致しないことがありました。そのため、直販とは売り方を大きく変えています。
例えば、パートナー様とご一緒するときに関しては、横文字をほぼ使っていないです。マーケティングオートメーションという言葉を使わずに「ほったらかし名刺」みたいな言葉に置き換えてやっていました。あと、バンドルでどう売れるのかっていうところをずっと考えています。実は某パートナー様とは裏でプロダクトをつなぎ込んでいくとか、一緒に開発していくみたいなこともやったりしています。
経営戦略としてのパートナービジネスと経営陣の巻き込み
クラウドサーカス 小此木氏:
もう一つ大きかったのは、事業部門責任者である私が自社の経営陣とともに動いたというのもあります。パートナービジネスは営業戦略やチャネル戦略としても有効ですが、経営戦略として置くことが最も重要だと考えています。
そのため、クラウドサーカスの社長だけでなく、スターティアホールディングス(プライム上場)の創業社長も含めて連絡・対応するなど、経営として動いてきました。私自身も、このパートナービジネスに関しては半期に1回、社内で状況説明を行っています。
こうした形で、経営陣をうまく活用して推進してきたという面がありました。 スターティアホールディングスの社外取締役を見ると、元々OA販売大手の社長が入っていたりしますし、スターティアを調べると、どの複合機メーカーを多く扱っているかといった情報も出てきます。そういった人脈や、使えるものを最大限活用して進めたことは大きなポイントだったと思います。
ターゲット属性に合わせた共感獲得と営業支援

クラウドサーカス 小此木氏:
Webパートナーについては、いわゆるOAのように営業人員が多数いる会社ではなく、比較的リッチな領域を狙っている制作会社などが中心になっています。OA側でいう主要3社のパートナー様が全体の半分程度、残りの半分程度を多数のWebパートナーが構成している、という構造です。
また、クラウドサーカス自体も元々Web制作を行っていた会社なので、自社が苦労してきたことを踏まえて「クラウドサーカスはこう変わりました」ということを、実践を通じてパートナー様に見せてきました。変わった会社が多数いることを証明し、一緒に動いていただける状況を作った結果、「パートナーとして取り組みましょう」とお伝えした際に、高確率で賛同いただけることが多かったです。

ただ、制作会社は営業部門がないケースが多く、そこが非常に難しい点でした。社長がデザイナー、社長がディレクターという形で、営業部門を持たない会社が多数です。そこで当社としては、そうしたパートナー様に対する訴求や支援をかなり強化しました。具体的には、リード獲得支援として展示会に一緒に出たり、セミナーをサポートしたりしています。
また、当社サービスの特性として無料版があるプロダクトが多く、無料版を自由に作れるようになっています。パートナー様が顧客向けに無料版を作成した場合、その顧客は当該パートナーの顧客として社内SFA(営業支援システム)と連携し、直販がアプローチできない仕組みまで作りました。 さらに、複数プロダクトの提案支援も行っています。
取り組みの具体例
クラウドサーカス 小此木氏:
取り組みの具体例として、セミナー運営では、最初は企画から講師まで当社側で担い、やり方が見えてきた段階で講師だけパートナー側の営業の方にお願いする形にしています。内容は当社側で企画し、パートナー様側に実施していただく形です。
また最近では、最初の1つのプロダクトだけでなく、複数プロダクトまで幅を広げています。顧客数が何千社もあるわけではないため、例えば100社、200社の顧客に対してMAを提案し切ったら次の行き先がなくなります。そこで、別のプロダクトで再度提案する、それが終わったらまた別のプロダクトで一周する、という形で営業を取っています。
展示会については、福岡の例があります。ビッグサイトのような大規模展示会は別として、地方では10万円、5万円、20万円程度の展示会・イベントも多くあります。そこに当社が費用を出し、パートナー様の看板で出展しつつ、プロダクトはクラウドサーカスのサービスを扱う、という形にしました。
人員についても当社の営業が1人行き、展示会での動き方を見せる形です。当社はOAの派生企業でもあり、営業会社としてテレアポや展示会対応も得意なので、そうした動きを実際に見せながら、リード獲得を行い、パートナー様が商談に行く仕組みを作っていました。
パートナー様が失注しても、じゃあまず無料版からアカウント作ってください、みたいに進めていましたね。
金融機関へのアプローチとパートナーシップの本質
クラウドサーカス 小此木氏:
地銀との取り組みでは、当社はビジネスマッチング契約はどことも結んでいません。ビジネスマッチングをしても基本的に紹介が来ないと考えたため、業務提携を仕掛けてきました。福島銀行様とは業務提携を行い、定期的にセミナーを実施しています(下記プレスリリースを参照)。

さらにデジタルマーケティング研修のような形で、月3時間、経営層向けに私が出向いて実施することもしています。 内容としては、テスト分析など、必ずしもウェブマーケティングやデジタルマーケティングに直結しないところもありますが、基礎的なレベルからマーケティングの重要性を解き、必要なサービスを使っていただく、という仕組みを作っています。
最後に事例として、兵庫にある社長お一人の会社さんの事例があります。元々、Web制作や業務アプリ、IT導入支援はできていたのですが、Web制作から商談につながる「中間」が作れなかった。そこで、その部分を当社プロダクトで補う提案をし、うまく進んでいるというケースです。 「営業が楽しくなった」といった声もいただきました。小さな会社であっても経営者とつながることで、こうした声を直接いただき、会社の経営にインパクトを出せる点は、パートナービジネスの良いところだと思っています。以上です。ありがとうございます。
司会: ありがとうございます。パートナーサクセスを想像以上にやってるんですね。もう代わりに売ってあげてる、あとシュート決めるだけだよというところまでやってあげる。
クラウドサーカス 小此木氏: そういうような取り組みも一部やったりしてますね。そこはただパートナー初期段階で取り組むことが多いです。最初の3ヶ月間ぐらいは、ある程度パワーをかけてやってます。
司会: なるほど。あとお話できる範囲でいいんですが、パートナー経由の新規の受注数とか売上って、どのレベルでどれくらいが次のフェーズに行ったとかありますか?
クラウドサーカス 小此木氏: そうですね。毎月販売できるパートナーが何社か出てきた、みたいなタイミングで次のフェーズに行ってますね。なので大体毎月ごとに2.5倍から3倍ぐらい、昨対でいうと売上として上がってきてる感じです。
司会: すごいですね。ありがとうございます。
うまく営業顧問を活用して大手企業をたくさん開拓するTIPS

エイジレス 小出氏:
よろしくお願いします。エイジレスの小出です。私、苗字が「小出」と言うんですけど、英語にすると「スモールイグジット」になりますが、スモールイグジットは目指さずビッグイグジットできるように頑張っております(笑)。
私は元々公認会計士をやってそこからスタートアップへ行ったり、フリーランスをしたり、前職がマイネットでBizDev(事業開発)をしたり、M&Aをしたりといったことをしていましたが、正直パートナーセールスをやったことはなくて、今のエイジレスでもパートナーセールスは全然やっていません。
ですが、今日は営業顧問を活用して大手企業をたくさん開拓するTIPSというところで、当社が人材系のサービス、人材紹介だったりSES・フリーランスマッチングというような事業を行っており、営業顧問の方の力をお借りして大手企業を開拓できたので、「営業顧問もパートナーセールスの1つに入るでしょう」ということで今日はお話しします。
これまでの話を聞いていて、営業顧問活用とパートナーセールスはかなり共通する部分があるなと思ったので、そこも含めて今日は聞いていただけたらというところです。
自社での成功からサービス化した「営業顧問」という手法

エイジレス 小出氏:
当社が自社サービスで、転職エージェントだったり、スカウト型転職サイトだったり、フリーランスマッチングサービスをやっていました。その中で自社で営業顧問を活用して大手企業の開拓がうまくいき、それを実際に自社サービス化するという形で、今年から新規事業として「エイジレスセールスプロ」というサービスをやっております。
当社は一般的な人材紹介がメインですが、クライアントは大手IT企業様、大手通信企業様などで、すべて直取引かつ成約実績もあります。創業約4年ですが、大手企業との取引ができています。これらの開拓には、実はすべて営業顧問を活用して行っています。本日は、こうした大手企業をどのように開拓するかについてお話しできればと思います。
当社のBtoB営業チャネルの変遷は次の通りです。

- 立ち上げ半年:経営陣3人+知人リレーションで開拓
- その後1年半:BDR/テレアポ/訪問営業/営業支援、マッチングサービスの活用
エイジレス 小出氏:
この期間に直面した悩みは、上記の手段で進めると、中小企業やSESなどのリードが無限に発生し、質が微妙なリードが増え続けてリソースを圧迫する点でした。そこで、「これはちょっと大手企業を開拓していかなければならない」という判断になり、営業顧問の活用を始めたという流れです。
営業顧問活用のメリットと失敗パターン
エイジレス 小出氏:
今日は営業顧問活用のメリットをお話しします。これは一般論ですが、営業顧問を活用する理由は大きく2つです。

- トップダウン営業ができ、通常営業手法では開拓できない役員層と商談できる
- テレアポ起点のプロセスを省略でき、商談プロセス/受注サイクルを短縮できる
では、こうしたメリットがあるにもかかわらず、なぜ営業顧問がすべての企業でうまくいくわけではないのかというと、失敗パターンが4つあります。

- 《営業顧問 失敗パターン》
- ① 商材不適合:そもそも営業顧問を使うべきサービス/商材ではない
- ② 人選ミス:最初に微妙な顧問をアサインし、1人目・2人目で心が折れて運用停止
- ③ 期待値調整ができていない
- ④ 顧問のマネジメントができていない
営業顧問活用が向いているサービス、向いていないサービス

エイジレス 小出氏:
まず1つ目の「どのようなサービス商材が営業顧問活用にフィットするのか」についてです。これは先ほどのパートナーセールスの話と同じで、重要なのは「すでに大手で実績があるサービス」で、「商材の複雑性が低いこと」です。これが大事です。
また、そもそも中小企業の開拓で十分であれば、営業顧問を使う必要はありません。中小企業の開拓でOKなら、獲得単価が合わないため、顧問は使わないほうが良いです。一方で「大手企業を開拓したい」となったときに重要な軸が、「商材の複雑性が低いこと」と「すでに実績があるかどうか」です。
まず実績がないサービスについては、「自分たちで売れないものを、パートナーや顧問を使ったからといって売れるわけがない」という点です。力技で何とか売れるかというと、そんなに売れるわけがありません。仮にたまたま売れたとしても、本当に1件売れる程度です。自分たちで売れていないものを、営業顧問を使ったら何とかなる、という発想はやめたほうがいいです。
次に「複雑性が高い商材」についてです。商談の最初の2〜3分で話して理解できる商材でないと、どうしても顧問側は紹介で売りづらくなります。したがって、複雑性が低い商材が向いています。人材系は非常に向いていますし、SaaSの中でも複雑性が低く分かりやすい商材で、かつ実績があるものは、営業顧問と非常に相性が良いです。
どういう人が営業顧問に適しているか

エイジレス 小出氏:
では、どういう人が営業顧問に向いているかという点です。これは人脈ベースの話と人格ベースの話に分かれますが、例えば開拓したい業界がある場合、その業界内の大手企業の役員も良いですが、その業界向けビジネスで営業やアライアンスの担当部長をしていた人などが狙い目です。
なぜなら、例えば飲食店の大手チェーンを開拓したいとき、最初に思い浮かびやすいのは「すかいらーくで役員をやっていた人」などだと思います。しかし飲食向けに営業している会社という観点で見ると、例えばデベロッパー、あるいは食べログやホットペッパーのような企業で、営業部長やアライアンス部長を務めていた人は、強いネットワークを持っています。そうした経験者のほうが、単価を抑えられる場合もあります。売りたい先の企業の役員を探すこと自体は悪くありませんが、その業界向けに売っていた事業部長や執行役員などを探すと、一発で突破できたりするため、この探し方はかなりおすすめです。
営業顧問を選定する時の基準

エイジレス 小出氏:
次は、当社でこれまで10数人の営業顧問を活用してきた中で、どういう人を顧問として選定すべきか、という話です。
- ➀偉そうではない人(ため口の人は絶対NG)
└一緒に働くほど自社が疲弊するため、ここは妥協しない - ②一緒に働くイメージが持てる人
└イメージを持てない場合、➀と同じく自分たちが疲弊する - ③自社のサービスを拡大解釈しない人
└自社サービスを勝手に拡大解釈しない/風呂敷を広げない人
└「夢のある話」ではなく、現実的に売れる設計で話せる人
└現実的な今の商材のまま「この会社なら売ってこれるよ」という話ができる人 - ④具体的な紹介力
└「この企業の〇〇さんなら、1〜2ヶ月目から紹介できる」など、具体的な紹介先・時期の想定が出せる - ⑤顧問慣れしすぎていない
└顧問慣れしすぎていると、アポを小出しにして契約を引き延ばす動きが起きやすい
└可能なら本業がある現役プレイヤー(役員等)で、本業で広げたネットワークの延長でアポを取れる人
└イベント・展示会で本業の動きと一緒に「2枚目の名刺」として出してくれる人
エイジレス 小出氏:
また、どの要因ならディスカッションできるか、自社サービスへのビジョンに共感してくれるか、といった点もあるに越したことはないです。
当社でも、副業OKの環境で、売上のあるSIerの現役取締役の方に顧問をお願いしていますが、その方がやはり最もパフォーマンスが高いです。
営業顧問「マネジメント」の重要性

エイジレス 小出氏:
特に重要なのが、営業顧問のマネジメントです。ここは聞いていてパートナーセールスと同じだと思ったのですが、営業顧問も「契約したら勝手にアポを取ってきてくれる」という前提に立たずに、しっかりマネジメントをする必要があります。
よくある失敗は、「契約したからどんどんアポを持ってきてくれるはず」という前提で契約したのに、全然持ってこないケースです。これはまず「営業顧問の活用は誰がボールを持つのか」という社内責任者を明確にしたほうがいいです。
次に、これは当社で実施していることですが、営業顧問の方に営業定例に出てもらうことをお勧めします。理想としてアポ数を握るのも良いのですが、営業定例に顧問を2〜3人出して、商談数を報告させ合うと、恥ずかしさが働いて勝手に頑張る構造が生まれたりします。選定時点で、「営業定例に週1または隔週で出てもらうが大丈夫か」を確認し、OKな人だけを顧問としてアサインしています。
さらに、営業顧問と社内責任者の関係性は、できるだけフラットにしたほうがいいです。フラットでないと、成果が出ないときに強く言えませんし、責任者が疲弊します。実際に、営業顧問活用の責任者が病んだ事例も見たことがあるので、ここは本当にフラットにすることを推奨します。
最後に、当たり前の話ですが、短時間でも1on1をして親密度を上げてもらう。パートナーセールスの話と同じで、ファンになってもらうことは非常に大事です。加えて、チャットツールに入ってもらうことも重要で、チャットに参加してもらい、自社の名刺も持ってもらって動いてもらうのが、最も成果が出やすいです。
営業顧問を自分たちで探し出すコツ

エイジレス 小出氏:
顧問会社などのサービスを使っている以上、アポ単価で利益を出すために、無意味なアポを組んでくることがあります。某顧問メーカーでは、本人への還元率が25%程度しか戻らないケースもあり、その結果として、クライアントが求める価値と、本人の思う価値が揃わない状況が起きやすいです。したがって、営業顧問を活用するうえで一番良いのは、自分たちで営業顧問を探し出すことだと考えています。
当社が恵まれていた点として、当社はシニア向けの人材サービスを提供していたため、過去の人材データベースの中に営業顧問になれそうな人が一定数いました。そこで、その人たちに連絡を取り、ひたすら会って面談し、選定するというやり方をしていました。
ただ、これは当社に限った話ではありません。イベントに沢山行き、その界隈の大手企業の役員と接点を作ったり、LinkedInでメッセージを送ったりという方法でも意外と良い営業顧問が見つかるので、自分たちで営業顧問を見つけることはおすすめです。

という話を今年1月noteで書いたところ、30〜40社から問い合わせがあり、本格サービス化しました。営業顧問の活用や、それをうまく成立させることを難しいと感じている会社が多いのだと分かりました。

本日はパートナーセールスの会ですが、営業顧問の活用を検討している方がいればサービスをご案内できればと思いますので、是非お声がけください。以上です、ありがとうございました。
司会:
エンタープライズの開拓は色々考えることが多いですね。「顧問で一撃」という話はよくあります。私が少し手伝っている会社でも、営業顧問を活用しています。
商談単価がグロース寄りなので顧問だけではないのですが、商談単価10万円以下で、月20社くらい新規商談を毎月作れています。きちんと運用していくと、顧問経由が一番多くなっていて、「エンタープライズの決裁者ってこんなに簡単に取れるんだ」という感覚を得られるのは、顧問ならではだと思います。
私も当時このnoteを読んでいて、エイジレスさんがそういうサービスをやっていることも知っていました。パートナーセールスは選択肢が色々あるので、もっと自由に発想していい、という観点も含めてお話をいただき、今回お呼びしたという経緯です。
それでは質問に移りたいと思います。
質疑応答

Q.営業顧問に依頼したい人物への「初期接点」はどう作る?
参加者B様: 小出様に質問です。営業顧問は使っているのですが、「こういう人に頼みたい」と思った時に、その初期接点の作り方を教えてください。
エイジレス 小出氏:
さっき話した通り、「この会社の事業部長だった人」「役員だった人」など、良さそうな人がいたら、LinkedInでメッセージを送る、Messengerでメッセージを送る、X(旧Twitter)でDMを送る、などでいいと思います。取引先の人に「その業界内で引退した役員を紹介してほしい」と頼む方法もあります。あとは業界系のイベントに行って、暇そうな人に話しかけるとか。
接点は作ろうと思えば作れます。当社は基本的に50〜60代の方をターゲットにしていますが、50〜60代は若手と違って人数も多いですし、そもそも声をかけられる機会が少ないので、経験と人脈のあるシニアを見つけるのは、若い人を探すより簡単だと思います。結局、やるかやらないかだけだと思います。
Q:商材が複雑な場合、営業顧問はどう選ぶべき?
参加者C様:
先ほど顧問に向いてないと出ていたように、弊社は商材が結構複雑です。商材が複雑だった場合の営業顧問の活用ポイントや営業顧問の選び方があれば教えてください。
エイジレス 小出氏:
複雑な商材はLTV的に高単価なことが多いと思います。その場合は、数を取りにいくのではなく先ほどの話とは逆に、「この1社を開けたいから、この会社の役員についてもらう」という考え方でやっている会社が多いです。具体例は伏せますが、複数社でそのやり方をしていて、「この1社を落としたいから、この会社の元役員を探す」という探し方のイメージです。
クラウドサーカス 小此木氏:
私もパートナー開拓では、顧問のような方に支援いただいています。1つは、顧問から今では社外取締役にもなっている方で、大手メーカー企業の元社長だった方です。その方経由で、元教え子のような関係で、副社長クラスの方が全国に複数社いるので、そこに対して稼働してもらったりしています。
もう1つ、パートナー開拓で言うと、某SaaS企業の元社長だった方と一緒に、各地方のパートナー開拓に行くこともありました。「ここに行きたい」「この会社に行きたい」とバイネームで指定すると、「そこ知っているよ」という形で連れて行ってもらえるという進め方です。
結局、自分たちがどんなパートナーを開拓したいかを明確にして、その領域に力を持っている方と上手くアライアンスを組めると良いと思います。
司会:
以上となります。皆様、本日はありがとうございました。
最後に
今回は株式会社スイセイ様の主催で、「事例から学ぶ、パートナーセールスの全体像と活用方法について」というテーマでお話しさせていただきました。
このような貴重な機会を設けてくださった株式会社スイセイさんには、心より感謝申し上げます。
当日は、パートナーセールスをどう立ち上げ、どう広げ、どう成果につなげるかという点で、現場目線の具体的なお話が多く、私自身も学びの多い時間でした。こうした場をご一緒できたことを嬉しく思います。
本レポートが、皆さまの日々の取り組みの整理や次の一手を考える際のヒントになれば幸いです!
