パートナーアクティベーション

地方銀行・信用金庫アライアンス活性化のための基礎情報②

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

パートナーセールス研究会 発起人の葛西(@kasai_201406)です。

先日、「地方銀行・信用金庫アライアンス活性化のための基礎情報①」と「対地銀アライアンス戦略セミナーのレポート」を書かせていただきました。

今回は①の続きで、セミナーでも一部語られている内容も含め、まとめさせていただきます。

地方銀行・信用金庫の組織構造・内部構造②

1. 地銀・信金がカバーする中小企業の商圏とその特徴

こちらは当たり前のお話ですので地銀アライアンスセミナーでもあまり深くは語られておりませんでしたが、地方銀行・信用金庫とのアライアンスを進める際には、まず彼らが取引している中小企業の商圏と特徴を把握することが重要です。

(前提、各地方銀行・信用金庫の規模によって変わりますが)

おおよそ地方銀行(地銀)は主に売上が数億円〜50億円くらいの規模の企業が中心、商圏は県内全域や隣接県まで広がる広域型が一般的です。

一方、信用金庫は 売上が数千万円〜数億円くらいの規模 の企業や個人事業主との取引が多く、地域の特定エリアに密着した地域特化型の営業スタイルが特徴です。

2. 提案先のカウンターパートは誰か? 規模別の傾向

地銀・信金とのアライアンス商材を提案する際は、地銀・信金の顧客企業の企業規模に応じたカウンターパートの違いを押さえておくことが欠かせません。

信用金庫が主に取引する売上が数千万円〜数億円規模の中小企業では、提案先は 社長本人 になることが大半です。経営判断がスピーディーなため、提案内容も現場感を重視すると良いでしょう。

一方、地方銀行が取引する顧客群においては、売上が数千万円〜数億円規模の企業では同じく社長本人が提案先となることが多いですが、売上が70〜80億円 を超えるくらいの企業になると、窓口が財務責任者や経理部門の担当者 に移行する傾向があります。こうしたケースでは、稟議を意識した資料設計や、複数回の提案プロセスを前提に準備しておくとスムーズです。
※前提、その顧客企業によって、地銀・信金の主な商談相手(カウンターパート)が社長か財務経理の担当者かは変わります。
※売上が70〜80億円を超えるくらいの企業だと、メインのカウンターパートが社長ではなく財務・経理になる傾向が強いというのは、あくまでも私の肌感です。

3. 銀行員がもっとも重視している指標は「融資」

アライアンスを通じて地銀・信金の銀行員の方々にサービスを販売いただく場合、知っておきたいのが彼らがもっとも重視している指標です。

昔も今も、銀行員が最重要視するのは 融資金額(新規融資+既存取引先への貸し増し)新規開拓社数 です(稀に、融資金額ではなく融資利息などを目標に置いている地銀・信金もあります)。

このため、銀行員にアライアンス商材を紹介する際は「このサービスを販売すれば、自分の1番追っている目標である既存先への融資の貸し増しや融資先の新規開拓につながりやすい」と実感してもらうことが重要です。

単に「よいサービスなので紹介してください」では動いてもらえません。融資の獲得・取引先の新規開拓につながる可能性の高さ をいかに示せるかが勝負どころです。

4. ITサービス提案のハードルの高さ

地方銀行・信用金庫の銀行員にアライアンス商材を取り扱ってもらう際、大きな壁になるのが ITサービスへの知見不足 です。

特に支店配属の銀行員は、そもそも個人のメールアドレスですら発行されていないことが大半であり、支店内でSaaSサービスに触れることもほぼありません。そのため、ITサービスへの知見が必然的に低くなってしまうような環境下であるため、ITサービスの専門的な説明やデモンストレーションの対応などはあまり望めません。

加えて、地銀・信金の執務室内には私用携帯の持ち込みが基本的には禁止されていたり、インターネット

そのため、「いかに分かりやすく」「いかに売りやすい形」に整えておくことが不可欠です。
たとえば、1枚で完結するサービスチラシ、提案時に使えるトークスクリプト、さらには銀行員が関与せずとも 自走的に案件化できる導線設計 を意識すると、現場での動きやすさが格段に高まります。

5. 銀行員とのコミュニケーション手段の実態

地方銀行・信用金庫の 支店勤務の銀行員 は、一般企業とは異なるコミュニケーション環境にあります。
まず 個人のメールアドレスが発行されていない ケースが多く、メールで直接連絡を取るのは難しいのが現状です。
※個人のメールアドレスが発行されていないため、SaaS商材を各支店の現場で使うことが基本的にはできません。メールアドレスがないため、そもそもSaaSシステムにログインができないため。

一部の地銀・信金では支店内に共通メールアドレスが用意されているケースもありますが、現場での活用頻度は低めで、電話や訪問 がコミュニケーションの基本手段になります。

アライアンス推進の際は、この環境を前提に、電話でのフォローアップや訪問時の情報提供を組み込んだ運用設計が求められます。

6. 効率的なアプローチには「時間帯」配慮が必須

地銀・信金の銀行員は、一般企業よりも勤務時間の管理が厳格です。
36協定により年間の残業時間が厳しく制限されており、支店勤務の方だと通常は 18:00〜18:30頃には退勤 される方が大半です。

そのため、銀行員は9:00〜18:00の間にいかに生産性高く、効率よく業務を遂行するかが重要となり、渉外担当になると非常に時間に追われます。
メーカー側から地銀・信金の支店へのアポ設定や勉強会開催の際は、基本的には銀行のシャッターが閉まる15時以降から17時くらいの間の時間帯 を意識することで、相手にとって負担の少ない形で協力を得られやすくなります。

7. 月末月初の訪問・連絡タイミングに注意

もうひとつ重要な注意点が 訪問・連絡のタイミング です。

地銀・信金では 月末月初は非常に多忙 であり、営業成績の締めや事務処理が集中します。現場はピリピリした雰囲気になることも多いため、月末月初の訪問やアポ取りは避けるのが賢明です。

中旬〜下旬の平日が比較的動きやすいタイミングになりますので、その時期を狙って活動計画を組むとスムーズに進められます。

まとめ

地銀・信金アライアンスを成功させるには、今回ご紹介した 現場ならではの特徴や事情 を正しく理解し、それに合わせた提案・支援設計を行うことが鍵になります。

「ITリテラシーの壁」「融資を意識した提案視点」「訪問・連絡タイミングの配慮」など、細かな工夫が現場の銀行員の「動きやすさ」を生み、アライアンス全体の活性化に直結します。

次のステップとしては、実際に支店レベルでトライアル的な活動を進め、小さな成功体験を積み重ねることが有効です。現場感覚を共有しながらアライアンス施策をブラッシュアップ していくことで、中長期的なパートナーシップが築かれていきます。

パートナーセールスの伴走支援します!

大手SaaSでパートナーセールスに従事し、パートナーセールスをハンズオンでゼロから立ち上げました。

その過程で、300社以上が参加するパートナーセールス研究会を立ち上げ、多くの企業と成功事例を共有してきました。

パートナーセールスの課題や疑問を共有し、一緒に解決策を見つけましょう。お気軽にご相談ください!

詳細はこちらから